研究概要 |
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium longumが有するアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)に対する分解酵素群のうち、糖質分解酵素(GH)ファミリー43に属すエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼ(BLLJ_1840)の諸性質の解析を中心に研究を行った。大腸菌で発現させた組換えBLLJ_1840タンパク質をβ-1,3-ガラクトオリゴ糖に作用させたところ、ガラクトース(Gal)の遊離が確認できた。一方、β-1,4とβ-1,6-ガラクトオリゴ糖には作用しなかった。本酵素の至適pHは5.5、至適温度は40℃であった。AGPと類似した構造を有するカラマツ由来のII型アラビノガラクタン(II型AG)を基質として用いて遊離糖の解析を行った結果、Gal、β-1,6-Gal2、β-1,6-Gal3、β-1,6-Gal4、L-アラビノース(L-Ara)で修飾されたβ-1,6-Gal3が同定された。糸状菌や放線菌で報告されているエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼが側鎖を除去したβ-1,3-ガラクタンに対する反応性が最も高いのに対して、本酵素はβ-1,3-ガラクタンよりβ-1,3-β-1,6-ガラクタンに対して9倍程度高い反応性を有していた。以上の結果、BLLJ_1840は側鎖が付加されたβ-1,3-ガラクタン主鎖を非還元末端側から切断するエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼであることが明らかとなった。また、本酵素はL-Araが付加しているII型AGに対しては低い反応性を示したことから、側鎖を分解する他の酵素群と協調的に働くことで、効率的にII型AGを分解できるものと考えられる。
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