研究実績の概要 |
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium longumが有するアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)に対する分解酵素群のうち、糖質分解酵素(GH)ファミリー43に属すGH43 α-L-arabinofuranosidase (BLLJ_1854)の諸性質の解析を中心に研究を行った。大腸菌で発現させた組換えBLLJ_1854タンパク質を各種pNP基質に作用させたところ、pNP-α-L-arabinofuranoside(Araf)のみに僅かに作用したことから、α-L-arabinofuranosidaseであることが確認できた。本酵素の至適pHは5.5、至適温度は50℃であった。また、Araf側鎖を有するβ-1,3-ガラクトオリゴ糖に作用させたところ、アラビノースの遊離が確認できた。また、カラマツ由来のⅡ型アラビノガラクタン(LWAG)やテンサイ由来のアラビナンのような多糖からもアラビノースの遊離が確認された。これらの結果から、本酵素は植物多糖の側鎖に修飾されたα-Arafを特異的に切断するα-L-arabinofuranosidaseであると考えられる。さらに、Real-Time PCRによる転写解析より、BLLJ_1854はLWAGを炭素源として培養した場合に高い転写が見られた。以上のことから、BLLJ_1854はⅡ型アラビノガラクタン主鎖に作用するGH43 exo-β-1,3-galactanase (BLLJ_1840)やGH30 β-1,6-galactanase (BLLJ_1841)と協調的に働くことで、効率的にⅡ型AGを分解できるものと考えられる。
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