研究課題/領域番号 |
24580145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
藤井 道彦 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (80285155)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 活性酸素 |
研究概要 |
酸素は多くの生物の生存に必須であるが,酸素の一部は代謝の過程で活性酸素へと変わる。そして,活性酸素の過剰な産生は老化や疾病を含めた種々の生命機能の劣化を引き起こす。活性酸素の大部分は様々な代謝反応の副産物として生じる。しかし,それらの反応やそこに関係する遺伝子の多くは明らかでない。そこで,私たちは活性酸素の生成に関わる反応や遺伝子に着目し研究を行ってきた。 本研究では、活性酸素生成の分子メカニズムを解明し,さらにすぐれた抗酸化能を示す機能性物質を種々の植物や微生物資源より探索し、人々の健康増進(老化防止や疾病予防など)に広く貢献することを目標とする。 私たちは,モデル生物の線虫Caenorhabditis elegansや出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて活性酸素感受性に変化を示す突然変異体を取得し,その原因遺伝子の同定や分子機構の解析を行ってきた。平成24年度は, (1)NAR1/oxy-4遺伝子の機能解析を行い、鉄イオンと活性酸素感受性の関係をC. elegansやS. cerevisiaeを用いて解析した。 (2)活性酸素感受性変異体を用いて,活性酸素の障害を防ぐ機能性物質を探索した。機能性物質は,インド地方の伝承医学で用いられる薬草,および多様な微生物が産生する様々な代謝産物をソースとした。薬草類を探索した結果、数種類の有望な抗酸化作用を示す薬草類を見出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性酸素感受性の制御に関わる神経細胞を同定する実験に若干の遅れがあるが、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。特に、抗酸化作用を示す薬草類のスクリーニングを精力的にこなし、実験系を確立させるとともに有望な候補を得ることに成功したはとても大きな成果となった。
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今後の研究の推進方策 |
活性酸素感受性の制御に関わる神経細胞を同定する。また、突然変異体より同定した遺伝子の過剰発現体の作成に着手する。発現コンストラクトを構築し、線虫にマイクロインジェクション法で導入する。染色体中に安定的に組み込まれた組換え体線虫を選別する。安定導入体の出現頻度は非常に低いため、数多くの線虫を一匹ずつ、時間をかけて丹念に調べる。 24年度に検討・構築したアッセイ系を用いて、さらに抗酸化作用のスクリーニングを継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に若干の遅れが生じた活性酸素感受性の制御に関わる神経細胞を同定する実験を行う。現在進行させている作業を引き続き進行させる。
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