酸素は多くの生物の生存に必須であるが,酸素の一部は代謝の過程で活性酸素へと変わる。そして,活性酸素の過剰な産生は老化や疾病を含めた種々の生命機能の劣化を引き起こす。活性酸素の大部分は様々な代謝反応の副産物として生じる。しかし,それらの反応やそこに関係する遺伝子の多くは明らかでない。本研究は、活性酸素生成の分子メカニズムを解明し,さらにすぐれた抗酸化能を示す機能性物質を種々の植物や微生物資源より探索し、人々の健康増進(老化防止や疾病予防など)に広く貢献することを目標としている。 私たちは,モデル生物の線虫Caenorhabditis elegansや出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて活性酸素感受性に変化を示す突然変異体を取得し,その原因遺伝子の同定や分子機構の解析を行ってきた。 平成26年度: (1)昨年度C. elegansのoxy-8活性酸素高感受性突然変異体の原因遺伝子の存在部位の絞り込みに成功した。本年度は、その絞り込んだ領域の遺伝子を詳細に解析し、原因遺伝子の同定に成功した。現在、複数の遺伝子発現コンストラクトを用いて最終確認を行っている。同様にoxy-7活性酸素高感受性突然変異体の原因遺伝子についても解析を試み、現在、候補遺伝子を含むDNAを用いた遺伝的相補実験を行っている。 (2)活性酸素高感受性変異体を用いて,活性酸素の障害を防ぐ機能性物質を探索した。昨年度、ミトコンドリアの抗酸化酵素SODを欠損したsod-2突然変異体を用いて様々な条件の検討を行った。本年度は、それらの条件にさらに改良を加え、実際のスクリーニングを行った。いくつかの有望なハーブが見つかったので、HPLCによる有効成分の精製を試みた。
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