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2013 年度 実施状況報告書

ミリスチル化を介した蛋白質間相互作用解析とその生理機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24580150
研究機関京都学園大学

研究代表者

松原 守  京都学園大学, バイオ環境学部, 教授 (90288481)

キーワードミリスチル化 / ミリストイル化 / 脂質修飾 / シグナル伝達 / 蛋白質間相互作用 / リン酸化 / 転写抑制因子 / 核移行
研究概要

本研究では、ミリスチル化による蛋白質間相互作用の普遍性と、その細胞内シグナル伝達系における制御機構を明らかにするために、本年度はNAP-22とミリスチル化依存的に結合する蛋白質について、大腸菌での発現系、および哺乳類細胞への導入と細胞内局在について検討した。
具体的には、ミリスチル化依存的にNAP-22と結合する蛋白質であるDDX5、YTHD3、HMGB1、NONOを取り上げ、これらのGST融合蛋白質を発現させるとともに精製を試みた。昨年度までは、GST-DDX5とGST-YTHD3については大腸菌による発現が確かめられ、その後のグルタチオンカラムによりそれぞれの精製蛋白質を得ることができた。一方、GST-HMGB1については発現は確かめられたが精製度は非常に低かったので、培養条件などを検討することにより精製量が増加した。また、GST-NONOについては本年度新たに発現、精製を行うことができた。
哺乳類動物細胞内でのNAP-22との共局在を確かめるために、昨年度構築したNAP-22のC末端に蛍光タンパク質であるGFPを融合させた発現プラスミドを用い、COS-7細胞(昨年度のHEK293細胞から変更)に遺伝子を導入した。また、ミリスチル化されない変異体を作製し、これについてもCOS-7細胞に遺伝子を導入した。ミリスチル化されたNAP-22では、細胞膜周辺に局在し、一方、ミリスチル化されないNAP-22は細胞質に局在することが分かった。
DDX5、YTHD3、HMGB1、NONOについてはHaloTag融合蛋白質として発現プラスミドを構築したので、それらの細胞内局在と、NAP-22と共発現を行ったものとで比較した。興味深い事に、ミリスチル化NAP-22とHMGB-1を共発現した場合に、通常は核に存在するHMGB1が核から細胞質に移行してミリスチル化NAP-22と共局在していることが示唆された。
これらの結果の一部は、第36回日本分子生物学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大学での教育面にとられる時間は多いため、十分に実験時間を確保しづらい状況ではあるが、その中で大学院、4回生とともに計画よりやや遅れ気味ではあるが、当初の目的であるNAP-22とミリスチル化依存的に結合する蛋白質群の解析を着実に行っている。
特にNAP-22とミリスチル化依存的に結合する蛋白質の細胞内局在の解析については、動物細胞における発現系をそれぞれの蛋白質で構築することができ、COS-7細胞へ導入することができた。また、NAP-22との共発現についても行うことができ、特にHMGB1との共発現実験においては、期待する結果が得られている。
ミリスチル化されたNAP-22との直接の相互作用を検証する実験のための結合蛋白質の大腸菌における発現と精製においては、昨年度に続き新たにNONOについて達成することができた。
今後の課題としては、更に仮説を証明するだけのクオリティーの高いデーターを多く集め、できるだけ早く論文化することが目標となる。

今後の研究の推進方策

平成26年度では、NAP-22と結合蛋白質との相互作用の生理機能の解明を目指すべく、平成25年度で得られた融合蛋白質を用い、ミリスチル化NAP-22と直接結合するかどうかを検証する。また、最近、リン脂質であるPIP2がその相互作用に関わる可能性が示唆されているので、これについても検討する。
次に、COS-7細胞においてNAP-22-GFPとHaloTagーHMGB1について、HMGB1が核から細胞質に移行してミリスチル化依存的にNAP-22と結合するという結果が得られたので、再現性の検証とともに、HMGB1が核から細胞質に移行するメカニズムについても検討する。
更に生理的意味の検証のために、核内で機能するDDX5、YTHD3、HMGB1、NONOを取り上げ、これらの蛋白質のミリスチル化依存的なNAP-22との結合が転写因子であるMycやWT1との相互作用に影響を及ぼすのかを解析する。最近では、この過程にHDAC-1やProhibitinなども関わることで転写抑制を行うことも分かってきたので、その過程にNAP-22やその結合蛋白質がどの程度関与しているかについても実験を行う。
細胞の種類をCOS-7だけではなく、ヒトのがん細胞由来のO2-US細胞やHela細胞なども用いてその普遍性を確かめる。
直接の結合が明らかになった蛋白質については、両者の複合体の構造解析を行うべく、両蛋白質が結合する最小のドメインを同定する。その後結晶化条件をスクリーニングする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] がん抑制因子NAP-22のミリストイル化によるタンパク質間相互作用の制御2014

    • 著者名/発表者名
      本田忠誠,菊池佑一, 中村正彦, 松原 守
    • 学会等名
      第61回日本生化学会 近畿支部例会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      20140517-20140517
  • [学会発表] ミリストイル化を介したタンパク質間相互作用による細胞機能の制御2013

    • 著者名/発表者名
      松原守、菊池佑一、中村正彦
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20131202-20131205
  • [備考] 京都学園大学バイオ環境学部分子生物学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.kyotogakuen.ac.jp/~molbio/

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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