今後の研究の推進方策 |
今年度の結果から、以前採取したカイコウオオソコエビのDNAおよびRNAが既に分解していることが分かった。したがって、新しいカイコウオオソコエビの個体が必要であり、今後出来るだけDNAおよびRNAの分解が進まない状態で捕獲・保存することが必須である。そこで、今後はカイコウオオソコエビの捕獲方法について検討を行い、核酸の分解が進まない手法の開発を行う。捕獲後直ちに凍結保存するだけでなく、捕獲時にRNA安定化溶液に個体を浸す方法などが挙げられる。 また、カイコウオオソコエビの生息域であるマリアナ海溝チャレンジャー海淵はミクロネシア排他的経済水域なので、その捕獲および調査に時間や経費がかかる。そこで、日本近海の深度9,000 mを超える超深海に着目して、カイコウオオソコエビの近縁種において同様のセルラーゼがあるか調査する。具体的には小笠原海溝最深部(深度約9,100 m)、日本海溝最深部(深度約9,800 m)が挙げられる。カイコウオオソコエビは、Hirondellea属のヨコエビであり、通常Hirondellea属のヨコエビは深度8,000 mより深い海域に生息しているとされている。 カイコウオオソコエビの核酸の分解が、いかなる方法でも防げなかった場合、イルミナ等の次世代シーケンサーによるゲノム解析を予定している。この場合、遺伝子を500-1,000 bpに切断後、DNAシーケンスを行うため、多少分解していても、遺伝子情報が得られると予想される。
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