研究課題
イネOryza sativaは、植物ホルモンのジベレリン以外にも多様なジテルペノイドを生合成する。その中には、モミラクトン、フィトカサン、オリザレキシンといったジテルペン系フィトアレキシンも含まれる。それらの生合成に関与するジテルペン環化酵素遺伝子は、研究代表者らの研究グループにより全て機能同定され、特徴付けも行われてきている。この環化酵素遺伝子の発見により、2番染色体と4番染色体には、フィトカサンとモミラクトンの生合成遺伝子がクラスターをなすことも明らかになってきた。モデル双子葉植物のシロイヌナズナでは、ジテルペン環化酵素遺伝子は、ジベレリン生合成に関与するものしかなく、イネはどのようにして多様なジテルペン環化酵素遺伝子を取得してきたか、という疑問がわいた。このことが明らかになると、イネがどのようにして病害抵抗に関与するフィトアレキシン生合成遺伝子を獲得してきたか、という知見を得ることになり、イネの生存戦略を考える上で重要な情報となる。そこで野生イネを利用して進化的知見を得ることを目指して研究してきたが、栽培イネの祖先種であるOryza rufipogonにおいてもフィトカサンとモミラクトンの生産は検出され、保存されていた生合成遺伝子が機能的であることが証明された。さらに別の野生イネを用いて新知見が得られたが、その内容について論文公表までは控える。平成27年度内での論文公表を計画している。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Journal of Experimental Botany
巻: 66 ページ: 369-376
10.1093/jxb/eru424