研究実績の概要 |
これまでに確立した光学活性なpropylene oxideから得られる二級アルコールのトシル化物をりようする方法を用いて、リンゴハモグリガの性フェロモンである10,14-dimethyloctadec-1-eneの全4つの立体異性体の合成に成功した。それらの雄蛾に対する誘引活性を岩手県盛岡市のリンゴ園にて調査したところ、(10S,14S)-体にのみ強い活性が認められ、本種の性フェロモンの立体化学を推定することができた。 また本合成化合物を用いて通年にわたるモニタリング調査を行ったところ、これまでに野外での蛹の見取り調査で得られている発生消長に対応する雄蛾の誘引結果が得られ、合成フェロモンを誘引源としたトラップの発生予察への利用が可能であることを明らかにすることができた。 さらに、メチル分岐を有する昆虫フェロモンに本研究で確立した合成法を活用するとともに更なる新規な合成法を創生することを目的として、これまでに同定されている化合物をリストアップしその合成ルートを検索し、300を超える論文を取りまとめ総説として公開した。
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