メチル分岐を有する昆虫フェロモンは、分岐位置と立体化学の両面で興味深い研究対象である。特定な位置の分岐を立体選択的に導入する汎用性のある合成法検討し、キラルなプロピレンオキサイドから調製した2級トシル化物への立体反転を伴った求核試薬のSN2反応により、高い光学純度で分岐を含むユニットの合成ルートを確立した。得られた合成ユニットを活用し、ハモグリガ、ミノガ、コケガ、およびカメムシが分泌する性フェロモンの立体選択的合成に成功した。 さらに今後の研究課題を明確にする目的で、キラルな昆虫フェロモンの構造決定、立体選択的合成、および生合成研究に関する国内外の報告のとりまとめを行い、総説として公表した。
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