研究実績の概要 |
前年度に行ったヤトロファ植物の地上部(比較的若い葉を含む茎頂付近)の遺伝子発現(mRNA発現)を次世代シークエンサで解析し,そこで得られた解析データをもとに候補遺伝子の探索を行った.さらには,研究実施期間中に公開されたナンヨウアブラギリのRNAseqドラフトデータ(Jatropha Genome Database,かずさDNA研究所http://www.kazusa.or.jp/jatropha/)をもとに候補遺伝子を探索した。一般にテルペノイドの基本骨格形成にはテルペン環化酵素が関与することが知られるため,3つの既知植物テルペン環化酵素(J.curcas casbene synthase, Physcomitrella patens bifunctional ent-kaurene synthase(KS), Lactuca sativa KS)をテンプレートとし, ゲノムデータから予想されるコード配列に相同性検索を行った。得られたデータから重複を除き,また機能に必要と考えられる200アミノ酸以上の長さを持つものを選抜し54候補遺伝子を得た。これら54候補遺伝子について既知植物テルペン環化酵素とともに系統樹解析を行い,機能の予測を行った。また54候補遺伝子すべてのORFについてcDNAライブラリーからPCRによる増幅を試み,さらにRNAseqデータと候補遺伝子を突き合わせることで,発現している候補遺伝子の絞り込みを行った。その結果, 8つの候補遺伝子が発現していることが確認された。 得られた候補遺伝子のうち,機能解析から1つはent-kaurene合成酵素(KS)遺伝子であった。現在,残りの候補遺伝子に関してもクローニング・機能解析を進めている。
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