研究課題/領域番号 |
24580160
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
真壁 秀文 信州大学, 農学研究科, 教授 (90313840)
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キーワード | アミノパラデーション / ピペリジンアリカロイド / カルボニレーション / ラクトン化 / 不斉合成 / 生理活性物質 / 天然物 |
研究概要 |
1.ピペリンアルカロイド(+)-azimineの全合成 申請者はPd触媒を用いた立体選択的な環化反応に着目して,顕著な生物活性を持つアルカロイドやポリケチドの合成を行ってきた。本研究では適用範囲を拡大し,より複雑で特異な構造を持つ(+)-azimineの全合成を行った。1,5-Hexadiyneを出発物質に用いてSharpless酸化を用いて不斉中心を導入し,環化前駆体を合成した。続いて立体選択的なアミノパラデーションを検討した。その結果,触媒としてCl2Pd(MeCN)2を,溶媒はジクロロメタンを用いることで従来法よりも収率が改善した。続いて,methyl 5-hexenateとピペリジン環部分をクロスメタセシス反応に供し,側鎖を延長した。触媒は第二世代Hoveyda-Grubbs触媒が良好な収率を与えた。次に内部オレフィンを還元後,アミノ基にCbz基を導入したヒドロキシカルボン酸を得た。この化合物のマクロラクトン化では椎名マクロラクトン化が有効であった。最後にCbz基の脱保護を行い,(+)-azimineの全合成を達成した。 2.Boronolideおよびdeacetylboronolideの全合成 Boronolideおよびdeacetylboronolideはα-ピロン骨格を有する生理活性物質である。本研究ではPd触媒を用いたカルボニレーション反応とラクトン化を鍵反応として合成研究を行った。D-マンニトールを出発物質として不斉点4つえお有するZ-ヨウ化ビニル化合物を合成した。この化合物に関して炭酸カリウムを塩基としてヒドラジン存在下でPd触媒によるカルボニレーションを行い,α-ピロン骨格を構築し,脱保護によりdeacetylboronolideを合成した。また全ての水酸基をアセチル化し,boronolideの全合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Pd(II)触媒を用いた天然物合成に関して平成25年度は2,6-ピペリジンアルカロイドである(+)-azimineの全合成をTetrahedron誌で発表した。また,Pd触媒を用いたカルボニレーション反応を用いてα-ピロン骨格を有する生理活性物質であるboronolideおよびdeacetylboronolideを合成し,Tetrahedron Letters誌に発表した。以上のことから研究課題はおおむね順調に進展している,と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2,6-cisのピペリジンアルカロイドの合成法は確立できた。一方,2,6-transのピペリジン環の効率的な構築は達成できているが収率に課題を残している。従って,今後は触媒のリガンドや基質の改良を行い,2,6-transのピペリジン環の構築を行う。ピペリジン環の構築が達成できた時点で,2,6-transピペリジンアルカロイドでマクロファージの活性酸素産生抑制活性という特異な生物活性を有するspectamine A の合成に応用する。また,平成26年度は環状アシルパラデーションを用いたセスキテルペンの合成に関しても研究を進めていく予定である。
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