研究実績の概要 |
1.Pd 触媒によるカルボニレーションを用いた天然物の合成研究 (1)α-ピロン化合物であるTetradenolideの4つのジアステレオマーの合成と構造訂正:Ttradenolideの相対および絶対立体配置が決定されていなかったため可能な全てのジアステレオマーの合成を行い,立体化学の決定を試みた。しかし,合成したジアステレオマーにおける全ての13C-NMRデータが天然物とは一致しなかった。類縁化合物などの詳細なスペクトルの解析を行ったところ,提唱されていた構造は(+)-deacetylboronolideであることが分かった。(2)Pd 触媒によるカルボニレーションを用いたα,β-不飽和-γ-ラクトン環を有する天然物の合成:本研究ではakolactone Bと(+)-ancepsenolide の全合成およびakolactone BにおけるC-4 位の絶対立体配置の決定を行った。その結果,ヒドラジン存在akolactone Bの両エナンチオマーを合成し,比旋光度の値からC-4 位はR配置と決定した。また同様にして(+)-Ancepsenolideの全合成も達成した。
2.アザパラデーションおよびオキシパラデーションを用いた天然物の合成研究 (1)2,6-trans-ピペリジンアルカロイドspectamine Aの合成研究:Moc基で保護されたアミノアリルアルコール誘導体に対して不斉配位子を用いた有機金属触媒によりアザパラデーション反応を試みた。その結果Ir触媒を用いたところtrans:cis=10:1でピペリジン環を得ることができた。(2)2,6-cis-THP環を有するdecytostolideの合成研究:アリルアルコールの水酸基に2-ナフチルエステル基を導入した化合物に対してオキシパレデーション反応を行い,単一のジアステレオマーで2,6-cis-THP環を得た。
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