研究課題/領域番号 |
24580161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安立 昌篤 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (80432251)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 有機化学 / 合成化学 / 天然物化学 |
研究概要 |
本研究では、ラジカル環化を鍵反応として特異な架橋型多環性骨格の効率的な合成法を開発し、生理活性の詳細が明らかにされていない希少天然有機化合物の化学合成を目的としている。具体的には、植物寄生性農害虫であるジャガイモシスト線虫の孵化機構において重要な因子であり、高度に歪んだシクロブタン骨格を含むソラノエクレピンAの合成研究を行う。特に、右側部分はシクロブタンを含むトリシクロ[5.2.1.01,6]デカン構造からなり、生理活性発現に必須であると考えられている。しかし、トリシクロ[5.2.1.01,6]デカンは連続する不斉四級炭素を含み高度に歪んだシクロブタンから構成されるため、その効率的な合成法の確立が最も重要な課題となる。この研究は、官能基化されたシクロブタンを持つ多環性天然物にも適用可能なラジカル環化によるシクロブタン合成法を確立する同時に、ソラノエクレピンAの特異なシクロブタン構造と活性発現の関係を明らかにするための基盤を形成する。 平成24年度は、ラジカル中間体の安定性や反応性を生かした基質を設計することで、トリシクロデカン骨格の構築法の確立を目指し、ラジカル共役付加を鍵反応として実験を行った。具体的には、アセチレンから生じるビニルラジカルとエノンを活用した共役付加によるラジカル環化によって、シクロブタンの合成を計画した。アセチレン誘導体に対して、Bu3SnHとAIBNから発生させたスズラジカルを作用させラジル環化を行ったところ、環化反応は全く進行せず望むトリシクロデカンは全く得られなかった。本合成では、ビニルラジカルや環歪みのあるラジカル中間体を経由するため、ラジカル還元剤や溶媒の種類などを精査し反応条件の最適化を行うことで、目的とするシクロブタン合成法の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シクロブタンを含むトリシクロデカンは高度に歪んだ分子構造のため、平成25年度は、異なるラジカル共役付加反応を駆使して、困難が予想されるがなるべく短行程で合成できる方法を計画して、合成研究に挑戦する。すなはち、アルデヒド誘導体に対してSmI2を作用させることでケチルラジカルアニオンを発生させ、ラジカル共役付加によるトリシクロデカンを合成する計画である。SmI2によるシクロブタン合成はすでに報告されているが、Thorpe-Ingold効果を利用した単純な鎖状基質でのラジカル環化が達成されるのみで、高度に歪んだシクロブタンの合成例は全くない。そのため、反応条件を精査することで、高度に歪んだトリシクロデカンの効率的な合成法の確立を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
橋頭位のラジカルを利用した側鎖の導入によって、ソラノエクレピンの右セグメント合成も計画している。すなはち、トリシクロデカンの三級水酸基をキサンテートに変換した後、ラジカル還元剤によって反応性が高い橋頭位ラジカルを発生させることで、不斉四級炭素の構築を伴ったシクロプロパンを含む側鎖導入を行う予定である。また、右セグメントであるトリシクロ[5.2.1.01,6]デカン骨格の構築法の確立した後、ソラノエクレピンAの全合成を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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