研究課題
昨年度は、抗原を塗布することによってアトピー性皮膚炎を発症させたNC/Ngaマウスを用いた。しかし、発症の程度が一定ではなく、ほとんど発症しない個体も存在したため、今年度は、先にアトピー性皮膚炎を発症したNC/Ngaマウス(自然発症)を購入し同様の検討を行った。皮膚炎の程度としては、血中IgEレベルを比較すると、昨年の抗原塗布に比べ5~10倍高くなっていた。リン脂質としてオキアミ由来アルキルリン脂質(1%)を含む試験食、または、比較対照としてアルキルリン脂質と同じ量のDHAを含むよう調整した魚油と大豆リン脂質を混合した油脂を添加した試験食、および、基本食(AIN93G 準拠、7%大豆油食)を与え3週間飼育した。発症の目安となる血漿中のIgE量はリン脂質を含まない基本食摂取とアルキルリン脂質食摂取において差は無かったが、皮膚からの水分蒸散量はアルキルリン脂質摂取の方が基本食群および魚油群に比べ有意に低値を取り、症状の緩和が見られた。一方、魚油摂取において皮膚炎の増悪が見られた。現在、皮膚中のプラスマローゲンおよびタイトジャンクション(TJ)タンパクの測定中である。また、今年度は一年目に行なったヒト正常皮膚細胞NHEKでの皮膚タイトジャンクション(TJ)バリア機能への影響を、アルキルリン脂質を用いて検討した。その結果、他のジアシル型リン脂質と同様、経上皮電気抵抗値を上昇させず、TJタンパク質の発現もコントロール群に比べ低値を示した。これまでの結果と合わせると、コリンを結合したグリセロリン脂質にこの作用があると考えられる。
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