研究課題/領域番号 |
24580170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
仲川 清隆 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80361145)
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研究分担者 |
宮澤 陽夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20157639)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルツハイマー / バイオマーカー / 過酸化脂質 / キサントフィル / アミロイドβ / miRNA |
研究概要 |
アルツハイマー型認知症(AD)では、治療法の開発に加え、いち早くADを察知し予防を開始できるように“ADバイオマーカーの開発”が望まれている。①我々は、ADの赤血球では、過酸化リン脂質やキサントフィルが大きく変動すること(J Alzheimers Dis, 28, 593-600, 2012)を見出しており、この知見を発展させて、ADバイオマーカーの開発へとつなげる。また、別のストラテジーとして、②血液に含まれる約1000種のマイクロRNA(miRNA)の網羅解析を行うことができ、血液や髄液へ活用して、有用なADバイオマーカーmiRNAを見出す。さらに、③こうしたADバイオマーカーを制御して、AD予防につながる食品の新しい機能を見出す。これらを目的に、本研究を進めている。 平成24年度は、当初計画に沿って、①ADバイオマーカーとしての赤血球の過酸化リン脂質、キサントフィル、アミロイドβ(Aβ)の有用性評価、②miRNAを活用した血液からの新規ADバイオマーカーの探索と有用性評価を行った。①では、ADと健常高齢者ボランティアを新たに直ちに募集することが困難だったため、上記論文のADと健常高齢者の赤血球および血漿Aβを測定し、上記論文で報告した過酸化リン脂質とキサントフィル濃度との相関を調べた。その結果、とくに赤血球でAβが影響し、過酸化リン脂質やキサントフィルが大きく変動することを見出した。故に、これらのADバイオマーカーとしての有用性を示唆する知見を得た(PLoS One, 7, e49620, 2012)。②では、連携研究者の荒井教授(東北大学加齢医学研究所)がストックしてきたADと健常者の血漿から、miRNAを抽出し網羅的に解析した。その結果、幾つかの有用なADバイオマーカーを見出し、現在論文を作成している。このように、概ね計画に沿って研究は順調に推移している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように現在までに、①では、とくに赤血球ではAβが影響し、過酸化リン脂質やキサントフィルが大きく変動することを見出した。故に、これらのADバイオマーカーとしての有用性を示唆する知見を得ることができた(PLoS One, 7, e49620, 2012)。②では、ADと健常者の血漿から、miRNAを抽出し、miRNAマイクロアレイを用いて、血漿に含まれるmiRNAを網羅的に解析し、その結果、幾つかの有用なAD バイオマーカーを見出し、現在論文を作成している。このうに新規AD バイオマーカーの開発に資する幾つかの重要な知見が得られ、研究は概ね順調に推移していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
①では、現在までの研究において、赤血球の過酸化リン脂質、キサントフィル、Aβは有益なAD バイオマーカー候補との結果を得ているため、この知見を、動物実験で検証する計画である(平成25年度)。②では、①の動物実験で血液が得られるため、これをmiRNA網羅解析に供する予定である(平成25年度)。加えて、前年度(平成24年度)に得たヒト血漿のmiRNA発現プロファイルの結果をさらに詳細に解析し、ADバイオマーカーとして活用できるヒトmiRNAを絞り込み、もっとも有用なmiRNAを明らかにする(平成25年度)。この有用評価のために、培養細胞試験も計画している(平成26年度)。また、昨年度(平成24年度)に終了しなかった髄液miRNAの解析を行う(平成25年度)。そして③として、 AD バイオマーカーを制御できる食品(成分)の探索と効能評価へつなげる。ヒト赤血球の脂質過酸化については、キサントフィル(とくにルテインやアスタキサンチン)の有効性をすでに見出しており(Brit J Nutr, 105, 1563-1571 (2011), Brit J Nutr, 102, 1280-1284 (2009) )、重点的に評価する計画である(平成26年度)。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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