研究実績の概要 |
アルツハイマー型認知症(AD)では、治療法の開発に加え、いち早くADを察知し予防を開始できるように“ADバイオマーカーの開発”が望まれている。①我々は、ADの赤血球では、過酸化リン脂質やキサントフィルが大きく変動することを見出しており、この知見を発展させて、ADバイオマーカーの開発へとつなげる。また、別のストラテジーとして、②血液に含まれる約1000種のマイクロRNA(miRNA)の網羅解析を行うことができ、血液や髄液へ活用して、有用なADバイオマーカーmiRNAを見出す。さらに、③こうしたADバイオマーカーを制御して、AD予防につながる食品の新しい機能を見出す。これらを目的に、本研究を進めた。 当初計画に沿って研究は進み、①を昨年度(平成25年度)に終えた。また、昨年度の実施状況報告書に記載のように、②において、これまでにヒト血漿と髄液のmiRNA発現プロファイルを数多く得ることができたため(J. Alzheimers Dis, 39 253-259, 2014)、本年度(平成26年度)はこれをさらに詳細に解析し、ADバイオマーカーとして活用できると考えられる有用なヒトmiRNAを絞り込んだ(New Food Industry,57, 1-9, 2015)。そこで③として、選定したADバイオマーカーを制御できるルテインなどの食品成分の効能評価(細胞実験や動物実験)を行っている段階である。当初計画では③を終える予定であったが、途中となってしまったため、外部資金等を獲得するなどして、継続して③を今後も行いたいと考えている。
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