研究課題/領域番号 |
24580171
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 ふみ子 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50321980)
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研究分担者 |
宮澤 陽夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20157639)
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キーワード | α-リノレン酸 / ラット / 離乳期 / 妊婦 / ドコサヘキサエン酸 |
研究概要 |
日本人妊婦の胎盤の脂肪酸分析ついて、特に詳細な検討を行った。すなわち、凍結乾燥試料を粉砕後、クロロホルム・メタノールで脂質を抽出、ケン化-酸性条件下でメチルエステル化を行い、得られた脂肪酸メチルエステルについてガスクロマトグラフィーで脂肪酸組成および組織中の脂肪酸含量を測定した。分析カラムの検討、市販標準品およびGC-CI/MSから得られた分子量との比較から、ω-3系列の脂肪酸のうち、従来注目されてきた、αリノレン酸、EPA, DPAn-3, DHA以外の脂肪酸が、幾つか検出が可能であることを明らかにした。さらに、DHA合成と同じ酵素を使うω-6系脂肪酸の代謝物についても、新たに2種類の脂肪酸が検出できる可能性を見いだしており、現在、正確な同定について検討している。また、これら新たに見いだした脂肪酸と、既知の他の胎盤脂肪酸との関係性を調べており、仮説を支持するような関係性が明らかになりつつある。 動物試験の試料については、順次、凍結乾燥し、粉砕試料をクロロホルム・メタノールで脂質を抽出して、分析試料の作成を行っている。一方、GC-FID法による組成分析については、上記の胎盤の解析から得られた、興味有る新たな脂肪酸について、分析条件がほぼ整ったので、次年度に分析を始めるよう、標準品などを新たに揃えるなど、分析準備を整えている。また、遺伝子発現解析のため、DHA合成に関わる脂肪酸代謝関連の遺伝子のリストアップし、候補遺伝子のプライマーの選定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定を変更し、疫学試料のより詳細な分析を最優先した。この結果、ヒト胎盤の脂肪酸分析から、幾つかの興味有る脂肪酸および脂肪酸同士の関連性が見いだされており、脂肪酸組成分析や、代謝関連酵素などで、動物試験へのフィードバックへの道筋が明らかになりつつある。よって、事業はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
胎盤の脂肪酸分析で得られた分析条件を利用し、動物実験試料の脂肪酸メチルエステルについて詳細な脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーで分析する。さらに胎盤の脂肪酸分析から得られた仮説に基づき、DHA合成に関わる脂肪酸代謝関連遺伝子について、順次発現解析を行う実施する。また、これらの得られた情報をまとめ、投稿論文に掲載する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用学のうち一部は、3月28-29日に行った、脂質代謝関連に関する情報収集のための日本農芸化学会2014年度大会への出張旅費に充てる。また残りは、海外発注品のため、納期が間に合わなかった試薬があったためである。 旅費については4月に精算予定である。試薬については、昨年度未購入の物品を購入予定である。
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