研究課題/領域番号 |
24580172
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
井深 章子 山形大学, 理学部, 准教授 (60301420)
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キーワード | 甘味受容体 |
研究概要 |
一般に甘味は舌上の味細胞に存在する膜タンパク質、甘味受容体によって受容される。甘味受容体はT1R2・T1R3の2分子からなるヘテロ二量体であり、各分子はN末端細胞外ドメイン(ATD)、システインリッチ領域、7本α-ヘリックスで形成される膜貫通領域、C末端細胞内領域で形成され、このうちのN末端細胞外ドメイン(ATD)が甘味物質と結合・相互作用すると考えられている。甘味物質が甘味受容体と相互作用するメカニズムを分子レベルで解析することを目指し、平成25年度は甘味受容体の2分子のうち、より発現量が高いT1R3のN末端細胞外ドメイン(T1R3-ATD)の精製、分子の性状解析を行った。 平成24年度までの研究で、T1R3-ATDとマルトース結合タンパク質(MBP)の融合タンパク質の発現に成功したが、プロテアーゼ処理によるマルトース結合タンパク質の除去ができない状態であった。その結果を受け、本年度は、融合させた1つのタンパク質間のアミノ酸配列を変えることで、プロテアーゼ処理効率を向上させることに成功した。 しかしながら、プロテアーゼ処理後に得られたT1R3-ATDの安定性は非常に低かった。また、T1R3-ATDの分子サイズをゲルろ過クロマトグラフィー・動的光散乱(DLS)・原子間力顕微鏡(AFM)の手段で解析したところ、予想されるサイズよりも遥かに大きいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
甘味物質と甘味受容体の分子相互作用解析を目指し、平成24年度に引き続き、甘味受容体の細胞外ドメイン(T1R3-ATD)の発現・精製・解析を試みた。T1R3-ATDとマルトース結合タンパク質(MBP)の融合タンパク質の間のリンカー配列を改変し、プロテアーゼ処理による切断効率の向上には成功したが、切断処理後のT1R3-ATDの安定性が低いという問題が生じた。また、T1R3-ATDの分子サイズの解析からは、分子がアグリゲーションを起こしている可能性が強く示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、甘味受容体へテロ二量体のうちのT1R3分子のN末端細胞外ドメイン(T1R3-ATD)の精製・解析を試みた。現在得られているT1R3-ATDの安定性が低く、また分子がアグリゲーションを起こしている可能性があることから、今年度は発現コンストラクトの再検討、界面活性剤の添加、マルトース結合タンパク質と融合した状態での機器測定を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品購入額、旅費使用額が予定と異なったため。 少額のため、次年度予算と合わせて物品購入・旅費に当てる予定である。
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