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2012 年度 実施状況報告書

乱れた食生活が原因で惹起される肝臓の炎症反応:免疫・代謝機能に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 24580174
研究種目

基盤研究(C)

研究機関千葉大学

研究代表者

大荒田 素子  千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教 (40211784)

研究分担者 五ノ井 透  千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (30134365)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード炎症反応 / 炭水化物 / 肝臓 / 復食 / TLR2
研究概要

近年、心血管性・代謝性疾患などの生活習慣病の発症と進行に、自然免疫機構を介した炎症反応の誘導が重要な役割を果たしていることが明らかにされてきている。いわゆる病原体センサーであるToll様受容体(TLR)と自己由来内因性リガンドによる非感染時の炎症応答である。今回、乱れた食生活の一つである不規則な食事の実験例として、絶食したマウスを標準食で復食させた。その結果、肝臓でTLR2およびTLR2シグナル下流遺伝子(炎症メディエーター、TLRシグナル抑制因子)の発現が促進し、内因性リガンド(熱ショックタンパク質)の発現も増大した。一方、TLR2欠損マウスでは、復食に伴う炎症反応の誘導が大きく軽減した。また、マウスを標準食の代わりに低炭水化物/高脂肪食で復食させた場合、復食に伴うTLR2シグナル伝達系の促進が著しく軽減した。さらに炭水化物(α-コーンスターチとシュクロース)のみで復食させた場合、炭水化物の摂取量に比例してTLR2シグナル伝達系が促進した。これらの結果は、絶食後の復食により肝臓でTLR2シグナル伝達系を介した炎症反応が誘導されること、炎症反応の誘導には食事性炭水化物が深く関わっていることを示している。これまで、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸をリガンドとした脂肪組織の炎症性変化の増悪と生活習慣病の関連について研究が進められてきている。これらの知見に加えて今回の結果は、不規則な食事が肝臓で炎症反応の誘導を介して生活習慣病の発症・進行に関与する可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) 不規則な食事の実験例として、絶食後、標準食で復食することにより、肝臓で炎症反応が惹起することを明らかにした。
(2) 復食による炎症反応の誘導には、食事性脂質ではなく、炭水化物が重要な役割を果たしていることを示した。
(3) この炎症反応の誘導には、これまで多くの研究報告のある内因性リガンドと受容体の組み合わせ(脂肪酸とTLR4)ではなく、TLR2と熱ショックタンパク質の組み合わせが関与していることを示した。
(4) 上記の内容を、J Nutr Biochem に投稿し、掲載された。
(5) 一方、なぜ食事性炭水化物が肝臓でTLR2発現を増大させ、TLR2シグナル伝達系を促進させるのか、その理由については年度中に明らかにすることができなかった。現在、引き続き実験を進めている。

今後の研究の推進方策

(1) 昨年度中に明らかにできなかった食事性炭水化物による肝臓でのTLR2発現の増大およびTLR2シグナル伝達系の活性化のメカニズムについて明らかにする。
(2) 炭水化物の種類が、不規則な食事により肝臓で誘導される炎症反応におよぼす影響について検討する。具体的には、多糖類と二糖類、単糖類による違い、各単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース)による違いについて調べる。
(3) 実験動物に、絶食-復食を複数回、繰り返させる。肝臓で繰り返し誘導される炎症反応が、生活習慣病(動脈硬化症、2型糖尿病など)の発症に深く関与する生体の症状(インスリン抵抗性など)を引き起こす可能性について調べる。上記の実験データから、不規則な食事が肝臓への作用を介して生活習慣病の発症と進行に関わるメカニズムについて検討し、論文にまとめる。
(4) 新たに、乱れた食生活の実験例として、食品添加物の摂取が肝臓の炎症性変化や機能に及ぼす影響について検討する。具体的には、食品添加物の継続的な摂取や、不規則な食事と添加物摂取の組み合わせが、肝臓の炎症反応の誘導におよぼす影響について調べる。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Refeeding with a standard diet after a 48-h fast elicits an inflammatory response in the mouse liver.2013

    • 著者名/発表者名
      Oarada M, Miki T, Kohno S, Sakai K, Nikawa T, Yoneyama M, Gonoi T.
    • 雑誌名

      J Nutr Biochem

      巻: 62 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cbl-b is a critical regulator of macrophage activation associated with obesity-induced insulin resistance in mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Abe T, Hirasaka K, Kagawa S, Kohno S, Ochi A, Utsunomiya K, Sakai A, Ohno A, Teshima-Kondo S, Okumura Y, Oarada M, Maekawa Y, Terao J, Mills EM, Nikawa T.
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 24 ページ: 1-10

    • DOI

      10.2337

    • 査読あり
  • [学会発表] 不規則な食事と肝機能2013

    • 著者名/発表者名
      大荒田素子
    • 学会等名
      日本食品免疫学会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20130621-20130621
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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