MIG12は核内受容体LXRにより発現誘導を受ける新規遺伝子として申請者らが発見した遺伝子であり、肝臓において摂食時に発現上昇し、新規脂肪酸合成の促進に関与することを報告してきた。本申請研究では、MIG12による脂肪酸合成促進機構について、特に脂肪酸合成の律速酵素であるACCの活性調節機構に焦点を絞り解析を行った。 ACCは通常状態では二量体を形成しており、活性化されるとフィラメント状のポリマーを形成することが知られているが、その形成の制御機構についてはほとんど明らかになっていなかった。本研究では、MIG12がACCと複合体を形成し、ACCのポリマー化を促進することを示した。 次に、MIG12とACCの結合様式を検討した。MIG12はC末端側にロイシンジッパードメインを有しており、二量体を形成する。MIG12のロイシンジッパードメインに変異を導入したところ、MIG12の二量体形成能は低下し、さらにACCポリマー化の促進効果が大きく減弱していた。また、ACCとの複合体形成能についても低下していた。以上の結果より、MIG12のロイシンジッパードメインは、自身のホモダイマー形成およびACCとの結合・ポリマー化亢進に重要であることを明らかにした。 ASO(antisense oligonucleotide)法を用いてマウス個体(肝臓)におけるMIG12発現を抑制する実験系の構築を試みたが、十分なノックダウン効率が得られなかったため、現在、MIG12KOマウスの作出を行っている。 さらに、検討の過程において、ラット初代培養肝細胞でのMIG12発現を変動させることで(過剰発現orノックダウン)、ACC遺伝子発現が活性とは逆方向に変動することを見出した。現在、MIG12発現によるヒストン修飾への影響に着目し、解析を継続しいてる。
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