研究課題
本研究では、内因的あるいは外因的に生成される炎症性リガンドによる炎症誘導機構を分子レベルで解明し、さらにそれらを制御しうる食品成分の探索を目的としている。特に、自然免疫受容体toll-like receptor (TLR)を活性化しうる脂質由来リガンドの化学生物学的解析と、食品成分の作用機構の解明を通して、食品成分による健康増進や疾病予防への貢献を目指している。平成25年度において炎症抑制活性の認められた野菜抽出物より、活性分子の単離精製を行い、NMRおよび質量分析装置などを利用してその化学構造を解析した結果、キャベツ抽出物よりイソチオシアネート化合物であるイベリンを見出した。同様に、タマネギ抽出物に含まれる炎症阻害物質としてケルセチンおよびその配糖体を見出した。イベリンに関して、in vivoにおける作用を検討するため、LPS投与マウスにおける炎症抑制活性を評価した。その結果、イベリンを摂取させることにより炎症性サイトカインの産生が抑制されることを確認した。また、イベリンによる炎症阻害メカニズムについて培養細胞レベルでの検討を行った。その結果、TLRシグナルの最上流であるTLR4の二量体化を阻害していることが明らかになった。さらに、イベリンのクリックケミストリープローブを用いて検討した結果、イベリンがTLR4に直接的に共有結合することにより、TLRの二量体化を阻害していることが示唆された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
J. Biol. Chem.
巻: 289 ページ: 32757-32772
10.1074