研究概要 |
西洋ワサビ由来ケンフェロール配糖体の経口摂取は肝臓中の薬物代謝第II相酵素の活性を上昇させるが、これには腸内細菌によるケンフェロール配糖体の分解物4-ヒドロキシフェニル酢酸が関与していることを明らかにしている。そこで、今年度はケンフェロール配糖体摂取時の4-ヒドロキシフェニル酢酸の体内動態について調べた。マウスに100 mg/kg体重量の本ケンフェロール配糖体を単回経口投与したとき、抱合を受けていない4-ヒドロキシフェニル酢酸の血中動態について解析を行った。そのCmaxは100 μM、Tmaxは2.0時間AUC∞は2.0 mmol/L•hであった。また、4-ヒドロキシフェニル酢酸、ケンフェロールおよびp-クレゾールについて、それぞれの抱合体についても同様の体内動態パラメーターについて解析を行った。また、本ケンフェロール配糖体と同様に小腸で代謝吸収されないと報告されているルチン(ケルセチン配糖体)についても腸内細菌により3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸が生成され、肝臓中の薬物代謝第II相酵素の活性を増加させると考え、同様の実験を行った。その結果、肝臓中の3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸量が増加し、肝臓中の薬物代謝第II相酵素であるキノン還元酵素の活性が上昇することを明らかにした。
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