研究課題/領域番号 |
24580186
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
小川 雅廣 香川大学, 農学部, 教授 (10398034)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コラーゲン分解酵素 / スクリーニング / 耐塩性 |
研究概要 |
平成24年度は、魚貝類の消化管および魚類の体表に付着している微生物から水溶性の酵素を回収し、それら酵素溶液にコラーゲン分解酵素が存在するかを調べた。 魚貝類の消化管:ハマチの幽門垂およびホタテの中腸腺から酵素を抽出し、硫酸アンモニウム(硫安)による塩析で分画を行った。各画分のコラーゲン分解活性(基質コラーゲンのβ鎖の分解度をSDS-PAGEにより数値化して求めた)を調べたところ、ハマチ幽門垂では30-60%飽和硫安画分に、ホタテ中腸腺では40-60%飽和硫安画分に強いコラーゲン分解活性があった。 魚類体表付着微生物:10魚種(ブリ、カンパチ、スズキ、サバ、サンマ等)の体表から1323菌株を単離した。これらの菌のコラーゲン分解活性を調べたところ、89菌株にコラーゲン分解活性があった。陽性であった89菌株の培養上清について、8.8%(1.5M)NaClという高い塩濃度でもコラーゲン分解活性を示すか調べた。その結果、8.8% NaCl存在下で0.04ユニット/(10μL)以上の高い酵素活性値を示したのは、BP3(チヌ由来)、JS51(スズキ由来)、YT3(ブリ由来)、SF9~12(ババガレイ由来)の7菌株であった。以上のことより、魚貝類の消化管および魚類体表に付着している細菌ともにコラーゲン分解酵素を有していること、また7菌株は高塩濃度下でも強いコラーゲン分解活性を示す酵素を分泌することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、魚貝類の消化管および魚に共生する微生物から酵素を回収し、コラーゲン分解酵素のスクリーニングを行った。当初の計画どおり、魚貝類の消化管および魚体表に付着した細菌にコラーゲン分解酵素が認められたこと、また、細菌由来の酵素については耐塩性が認められたことより、計画はほぼ達成されたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は高塩濃度下でも高いコラーゲン分解能をもっていた細菌(例えば、JS51、SF10)の酵素にしぼって研究を進める。まず、細菌(JS51あるいはSF10)がコラーゲン分解酵素を大量に生産するのに適した培養条件(すなわち最適培養条件)を検討したのち、イオン交換クロマトグラフィーや疎水性相互作用クロマトグラフィーにより酵素の分離精製を行う。その後、精製した酵素を使って酵素の至適温度や至適pHなどの生化学的性質を調べる。酵素の生産方法、生化学的性質の解析が終わったら、その酵素を使って食肉軟化試験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は研究が順調に進んだことから、次年度も当初計画通りに研究費を使用し、研究の推進を図る。
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