研究概要 |
平成24年度には、高塩濃度下でも高いコラーゲン分解活性を有する二つの菌株(JS51,SF10)を見出した。平成25年度は、両菌株についてコラーゲン分解酵素(COLase)の生産に適した培養条件および酵素の分離精製法の検討を行った。 16S rRNA遺伝子の配列決定により、JS51菌株はShewanella属、SF10菌株はPseudomonas属の細菌であることが分かった。両菌株の栄養要求性を調べたところ、JS51はアルギニン(Arg)、グルタミン酸(Glu)、リジン(Lys)を必要としたが、SF10には必須アミノ酸がないことが分かった。酵素生産に適した合成培地の検討を行ったところ、両菌株とも合成培地では十分なCOLaseの生産が行われなかった。合成培地に7種類のアミノ酸(Arg,Glu,Lys,Leu,Ser,Val,Ile) 20mMとゼラチンペプトン2mg/mlを添加した半合成培地を使うことで、高いコラーゲン分解活性を有するCOLaseを得ることができた。 上述の半合成培地でJS51、SF10両菌を培養し、培養上清からCOLaseの分離精製を試みた。酵素の分離精製は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(疎水クロマト)、分取用等電点クロマトグラフィー(等電点クロマト)、イオン交換クロマトグラフィー(IEクロマト)により行った。 疎水クロマトには、JS51由来COLase、SF10由来COLaseとも樹脂に吸着した。また、樹脂からのCOLaseの溶出はJS51酵素が硫安を含まない溶液で溶出されたのに対し、SF10酵素は硫安濃度0.25Mを含む溶液で溶出された。等電点クロマトでは、JS51、SF10ともコラーゲン分解活性はpH8.0からpH9.0の間に溶出された。IEクロマト(SF10のみ実施)では、DEAEセルロファイン(移動相のpH8.6)には吸着し、0.1M NaClを含む溶液によって溶出されたが、CMセルロファイン(移動相のpH7.5)には吸着しなかった。 疎水クロマトの分画のSDS-PAGE解析より、JS51由来のCOLaseの分子量は45~50kDa、SF10由来のCOLaseの分子量は45kDaと推定された。
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