研究課題/領域番号 |
24580188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 教授 (00263963)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コラーゲン / マクロファージ / 自然免疫 |
研究概要 |
コラーゲンの免疫促進効果に関して、自然免疫系に関与するマクロファージに対する作用を明らかにすることを目的として研究を行った。コラーゲンを用い、マウスマクロファージ細胞株J774.1の貪食活性に及ぼす効果を検討したところ、クラゲコラーゲン、およびウシアキレス腱由来コラーゲンは有意にJ774.1細胞の貪食活性を促進した。また、コラーゲンはマクロファージが産生する免疫タンパク質である腫瘍壊死因子(TNF)-α、およびインターロイキン(IL)-6の産生を強く促進することが明らかになった。これらの結果から、コラーゲンはマクロファージの貪食活性やサイトカイン産生活性を促進することが明らかになった。また、マウス腹腔から調製した初代マクロファージ細胞(P-Mac)に対しても活性を示すかどうかを検討したところ、貪食、およびサイトカイン産生を強く促進することが明らかになった。 サイトカイン産生促進効果について、その作用メカニズムを明らかにするため、TNF-α、およびIL-6の遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRで解析した。その結果、J774.1細胞、およびP-Macの両細胞において、TNF-α、およびIL-6をコードするmRNAの遺伝子発現が強く促進されており、遺伝子発現レベルの促進により、サイトカイン産生量が促進されることが明らかになった。また、および炎症応答により発現が上昇する誘導性NO合成酵素(iNOS)、およびシクロオキシゲナーゼ(COX)-2の遺伝子発現を検討したところ、コラーゲンは両遺伝子の発現を促進した。これらのことから、コラーゲンはマクロファージを全体的に活性化することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画でH24年度に実施する予定であった検討内容をほぼ完了できている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) マクロファージの活性化メカニズムの解明 マクロファージの活性化にはその細胞膜表面上に存在するToll様受容体(TLR)4経路が関与している。コラーゲン刺激によりマクロファージのサイトカイン等の遺伝子発現が上昇したことから、TLR4経路による活性化により転写因子であるNF-kBの核移行が促進され、遺伝子発現が上昇している可能性が推察された。そこで、コラーゲンの効果の発現にTLR4経路が関与しているかどうかを明らかにする。また、マクロファージは核内受容体 スーパーファミリーのメンバーの一つであるPPAR-γ1、およびγ3を発現しており、マクロファージの活性をコントロールしており、サイトカイン産生を抑制的制御していることが知られている。そこで、PPARγに着目し、コラーゲン刺激により、RRARγの遺伝子発現、およびレセプター活性がどのように変化するか、あるいはPPARγ活性に関与するにMAPキナーゼシグナル系がどのような影響を受けるかを明らかにする。 (2) コラーゲン投与が耐病性に及ぼす影響の解明 これまでにコラーゲンの経口投与により生体内において、リンパ球の抗体産生やサイトカイン産生など、獲得免疫系が活性化されることを確認しているが、生体防御能を持つ機能性食品素材として開発するためには、コラーゲンの摂取が実際の感染症予防に対してどの程度効果を発揮するかを明らかにする必要がある。自然免疫系しかないクルマエビや単純な獲得免疫系を有する魚類に対し、コラーゲン混餌投与における病原菌に対する抵抗性 や貪食細胞の活性を評価する実験系を確立する。まず、クルマエビを対象として、コラーゲンを混餌投与した状 況下で、致死性の病原菌による攻撃試験を行い、コラーゲンの経口投与が耐病性にどのような効果を示すかを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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