研究課題/領域番号 |
24580188
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 教授 (00263963)
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キーワード | コラーゲン / マクロファージ / 自然免疫 / TLR4 / JNK |
研究概要 |
クラゲコラーゲンは、マクロファージ細胞株J774.1細胞、およびマウス腹腔由来初代マクロファージの炎症性サイトカイン産生を促進することが明らかになったことから、今年度は、作用メカニズムの解明を試みた。マクロファージは、細胞表面に発現しているTLR4受容体を介して活性化される。そこで、TLR4の特異的阻害剤作用下においてクラゲコラーゲンの効果を検討したところ、阻害剤共存により、コラーゲンの効果は大きく抑制された。このことから、コラーゲンはTRL4経路でマクロファージを活性化することが明らかになった。そこで、使用しているクラゲコラーゲン抽出物に夾雑しているしエンドトキシンによる影響の可能性が考えられたため、クラゲコラーゲン抽出物中のエンドトキシン濃度を測定したところ、抽出物にはエンドトキシンは混入しておらず、また、コラゲナーゼ処理することで活性が有意に抑制されたことから、クラゲコラーゲン抽出物のマクロファージ活性化作用はエンドトキシンによるものではなく、コラーゲンによる効果であることが明らかになった。 また、詳細な作用メカニズムを解析した結果、コラーゲンはNF-κBの核移行の促進に加え、MAPキナーゼの一種であるJNKの活性化を促進することでマクロファージを活性化することが明らかになった。 さらに、コラーゲン投与が耐病性付与に繋がるかどうかを確認するため、無脊椎動物であり、自然免疫系だけを持つクルマエビを用い、ホワイトスポットウイルスに対する耐病性を指標として、クラゲコラーゲンの混餌投与の効果を検討した。その結果、クラゲコラーゲンの投与によって、有意な製造率の改善が認められ、クラゲコラーゲンか耐病性付与に効果があることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H25年度の当初計画で実施予定だった検討内容を概ね実行できた。また、H24および25年度の研究成果を学術論文にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1) マクロファージは核内受容体スーパーファミリーのメンバーの一つであるPPAR-γ1、およびγ3を発現しており、マクロファージの活性をコントロールしており、サイトカイン産生を抑制的制御していることが知られている。そこで、PPARγに着目し、コラーゲン刺激により、RRARγの遺伝子発現、およびレセプター活性がどのように変化するか、あるいはPPARγ活性に関与するにMAPキナーゼシグナル系がどのような影響を受けるかを明らかにする。また、マクロファージ活性化の作用メカニズムが明らかになったことから、マクロファージと同様に貪食作用を持ち、自然免疫から獲得免疫への橋渡しを行っている樹状細胞に対するコラーゲンの効果を明らかにする。 (2) コラーゲンの感染症に対する耐性付与に関して、クルマエビで有意な効果が認められたことから、マダイやヒラメなど、数種の魚種に対する病原菌による攻撃試験において、摂餌により投与されるコラーゲンの効果を検討することにより、魚類の自然免疫活性化に及ぼすコラーゲンの効果を解明する。
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