研究課題/領域番号 |
24580191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
柳田 晃良 西九州大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00093980)
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研究分担者 |
永尾 晃治 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10336109)
四元 博晃 西九州大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50321310)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 新規機能性脂質 / オゾニド化脂質 / 海藻由来複合脂質 / 肥満動物 / 脂肪肝 |
研究概要 |
本研究では、新規機能性脂質が病態発症(特に脂質代謝異常)に及ぼす影響をマウスやラットを用いて検討した。先の研究で、脂肪酸の二重結合をオゾニド化したオゾン化脂質が抗炎症作用などの生理活性を発揮する可能性が見いだされたことから、糖・脂質代謝に及ぼす影響について検討を行った。オゾン化オリーブ油を正常モデルC57BL/6Jマウスおよび肥満モデルdb/dbマウスに摂取させ、安全性と栄養生理作用について追加検討を行った結果、オゾン化脂質摂取は、正常マウスに対して顕著な影響はなく安全性が示された。また肥満マウスにおいては、肝肥大・脂肪肝・肝障害・高インスリン血症を改善することが示され、その作用機序の一端として肝臓の脂肪酸合成系と炎症性因子の遺伝子発現抑制が示唆された。本研究によりオゾン化脂質摂取は、肥満状態のマウスとラットで脂肪性肝障害改善作用が示され、また安全性も確認された。今後、オゾン化脂質の吸収動態および体内分布等の検討が望まれる。 また天然の新規機能性脂質の検索において、海藻リン脂質および糖脂質の構成脂肪酸としてエイコサペンタエン酸(EPA)が含まれ、特徴的な構造脂質を持つことが示唆された。EPA含有複合脂質が肥満・糖尿病モデルdb/dbマウスの病態発症に及ぼす影響を検討した結果、脂肪肝および高脂血症の改善作用が示された。更に、EPA含有複合脂質摂取により肝障害改善作用が示唆され、その作用機序として、肝臓保護作用を持つアディポネクチンの血中濃度上昇と、肝臓における炎症性因子の遺伝子発現抑制が示唆された。 以上のことから、新規機能性脂質の創製において、脂肪酸の二重結合に対する修飾や脂質構造異性体の構成成分の変更・付加や結合位置の制御が、有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の成果として、幾つかの新知見と、学会発表5件、図書1件の成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き病態モデルin vitro実験系を用いた新規機能性脂質の生活習慣病予防・改善機能の評価をおこなう。 各種質構造異性体の生活習慣病改善効果については、 ①高脂血症については、ヒト肝臓モデルHepG2細胞および初代培養肝細胞における、放射性同位元素ラベル脂質の合成と培地中への分泌およびリポ蛋白質合成調節因子MTPへの影響を指標として評価を行う。 ②動脈硬化については、マクロファージや動脈由来平滑筋細胞における、過剰蓄積コレステロールの細胞外への搬出の責任分子であるABCA1への影響を、レポータージーンアッセイ及び放射性同位元素ラベル脂質を用いて評価する。 ③糖尿病については、マウス由来3T3L1細胞やヒト由来初代培養白色脂肪細胞における、インスリン抵抗性発症関連因子アディポネクチン及びインクレチン発現への影響を、レポータージーンアッセイ及びリアルタイムRT-PCR法を用いて評価する。 ④高血圧については、リニン・アンジオテンシン系の律速であるアンジオテンシン変換酵素活性への影響を指標として評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として、昨年度同様、シグマアルドリッジD-MEM、和光純薬0.05w/v%トリプシン、コージンバイオD-PBS等を購入予定である。 また、動物実験用試薬およびインスリンなど各種ホルモンやアディポサイトカイン分析のためのキットを購入予定である。
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