研究課題/領域番号 |
24580194
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
渡辺 達夫 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10210915)
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キーワード | TRP受容体 / 温度感受性 / 食品成分 |
研究概要 |
暖かい温度域で活性化されるhuman TRPV4遺伝子を取得し、pcDNA4/TOベクターに組み込んでリポフェクション法によりT-Rex HEK細胞にトランスフェクトして、抗生物質で選抜してhTRPV4安定発現細胞を取得した。また、冷たい温度域で活性化するTRPM8については、これまでマウスTRPM8の安定発現細胞を用いていたが、今回、human TRPM8遺伝子を取得し、TRPV4の場合と同様の手法により、hTRPM8安定発現細胞の樹立に成功した。 昨年度樹立したhTRPV3安定発現細胞と、今年度作製したhTRPM8安定発現細胞を用いて、香辛植物10数種の精油ならびにエタノール抽出物にて活性化成分の探索を実施したが、TRPV3ならびにTRPM8を活性化した精油・抽出物は存在しなかった。 新たなTRPV1・TRPA1活性化成分をドリアンから探索し、含硫化合物数種がTRPA1活性を有することを見出した。 温度感受性TRP受容体に影響を及ぼす成分としてボアカンジンを見出し、TRPA1活性を有していながら、TRPV1とTRPM8に対して特異な阻害活性を示すことを明らかにした。 また、ヒトにおいて体温上昇効果が知られているウインターセーボリー中の活性化成分をTRPV1・TRPA1安定発現細胞を用いて探索し、精油の主成分であるカルバクロールがTRPA1活性を有することによるものであることを明らかにした。 さらにin vivoの実験系として、撮影台等を種々検討することにより、無麻酔にて低拘束状態でマウスの表皮温度の変化を2匹同時にモニターできる系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TRPV3, TRPV4ならびにhuman TRPM8の安定発現細胞の樹立に成功し、植物抽出物等でTRPV3とTRPM8活性化成分の探索を実施した。また、新たなTRPA1活性化成分数種をドリアンとウインターセーボリーから見出した。In vivoではTRPM8活性化成分の効果の検証ができ、また無麻酔にて表面温度に与える影響の実験系を確立でき、おおむね実験は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、TRPV3, TRPV4, TRPM8の安定発現細胞を用いて、アゴニストならびにアンタゴニスト活性を有する食品と、活性化成分の単離・精製・構造決定を行う。温性ならびに寒・涼性食品を中心に探索を実施する。あわせて、in vivoの実験にて、マウスの体温への影響を検証する。これらの結果を踏まえて、食品の五性と温度感受性TRP受容体活性化能との関係を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
5千円程度の残金が生じたが、無理に使用せず、今年度に繰り越した。 細胞培養の経費として残金を繰り込む予定である。
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