研究概要 |
食品アレルギーは,近年増加の一途をたどり,その予防・治療方法の開発は急務となっている.その発症には,IL-4のみならず,好酸球が重要であり,好酸球の分化・増殖を担うIL-5の発現調節機能の解明は食品アレルギーをはじめとするアレルギー疾患の制御へつながる.しかしながら、これまで,どういった細胞が主たるIL-5産生細胞であるかは明らかとなっていなかった.そこで,本研究では,IL-5産生細胞をGFPにてマーキングすることにより,in vivoでのIL-5産生細胞を可視化し,その挙動・機能を解析することを目的とした. 初年度に樹立した,IL-5プロモーター制御下でGFPを発現するBACトランスジェニックマウスをもちいて,IL-5産生細胞 (GFP陽性細胞) の同定・表現型の解析を行った.このマウスの,脾臓,リンパ節,小腸といったリンパ組織および肺より調製した細胞はGFP陽性細胞の比率は低かったが,脂肪組織より調製した細胞においてはGFP陽性細胞の割合が高かった.このGFP陽性細胞は,一部はT細胞であったが,多くは,系統マーカー陰性の,最近見いだされたInnate Lymphoid cell (ILC, 自然リンパ球) であった.この細胞は,CD90, Sca-1, IL-7Rα, CD25, IL-33Rα, ICOSを発現し,典型的なグループ2 ILCの表現型を示していた.得られた結果は,次年度に行う,IL-5産生細胞の機能解析において重要な知見と考えられた.
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