研究概要 |
イソフラボン代謝産物equolの鏡像異性体を0.5mg/日となるよう、4週間浸透圧ポンプにより皮下投与した卵巣摘出(OVX)および対照(OVX単独・Sham:偽手術)マウスの大腿骨からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイに供した。得られたデータを正規化し、階層的クラスター解析を行ったところ、Sham、OVX、OVX+(S)-equol(OVX-S)、OVX+(R)-equol(OVX-R)の4群で発現変動が異なるクラスタリングとなったが、クラスター間の距離については、OVX-SがShamに近く、OVX-RがOVXに近い結果となった。また、fold changeが1.3以上、P<0.05で変動した遺伝子のうち、Sham-OVX間では1,403、OVX-OVX-S間では726、OVX-OVX-R間では4,410、OVX-S-OVX-R間では4,388であった。更にSham vs. OVXでupし、OVX vs. OVX-Sでdownした遺伝子は139、逆にdownし、upした遺伝子は93であった。この139遺伝子のうち、細胞接着、細胞分裂、神経分化等細胞機能に関わる遺伝子群が多く、Wntシグナルの変動により、OVXではGタンパク質を介して細胞内Ca2+の上昇(Casrの発現変動あり)からカルシニューリンの上昇、NFATによる破骨細胞(OC)分化が誘導され、(S)体投与ではOC分化が抑制される可能性が示唆された。 各equol投与による組織分布については、肝臓、腎臓、大腿骨で(S)体が、脳では(R)体の濃度が高くなる傾向を示した。 骨髄細胞(BMC)培養液中への各equol添加では(0, 0.1, 10uM)、活性型ビタミンD刺激によるOC分化は(S)-equol添加により濃度依存的に抑制されたが、(R)-equol添加では、0.1uMから明らかなOC分化抑制作用が観察された。
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