研究課題/領域番号 |
24580199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
大石 祐一 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (00313073)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 紫外線 / メタボリックシンドローム / マイクロアレイ |
研究概要 |
メタボリックシンドロームには、インスリン、IGF,IGFBPsなどの様々なホルモン、サイトカインなどの因子が関与している。一方、皮膚は、光の影響を受ける器官の1つであり、光のなかでもとくに紫外線が皮膚に与える影響については、分子レベルで詳細に研究されている。しかし、紫外線が皮膚を介して、栄養、とくにメタボリックシンドロームに関与する因子に影響を与えるか否かについては明らかになっていない。申請者は、紫外線が皮膚を介して、メタボリックシンドロームに関与する因子にどのような影響を与えるのかを遺伝子の網羅的解析法を用いて明らかにし、また、そのメカニズムを解明することを本研究の目的とした。 平成24年度は、本研究の目的を達成するために、①マウス皮膚への紫外線照射条件の確立、および②皮膚を介して、肝臓・脳・脂肪から紫外線照射により変動する遺伝子を選択することを行った。その結果、①に関しては、紫外線Bを1.6J照射させ、表皮のVEGF-Aおよびトロンボスポンジン-1のmRNA量の比の変動量で検討することがよいことが分かった。本条件では、表皮Nerve Growth FactorやCGRP(Calcitonin gene-related peptide)のmRNA量も顕著に増加した。 ②に関しては、DNAマイクロアレイを用いて検討した。その結果、視床下部でのCGRPのmRNA量の増加、肝臓でのCGRP、さらにそれを介してのインターロイキン-6、急性期タンパク質のmRNA量の増加、また、脂肪組織でのPPARγ、アディポネクチン、レプチンのmRNA量を減少させることが分かった。また、肝臓でのコレステロール異化にかかわるCYP7A1、IGFBP-1、TGFβ1は変動しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目的は、マウス皮膚への紫外線照射条件の確立とDNAマイクロアレイを用いた皮膚、肝臓、視床下部、脂肪組織への紫外線の影響について検討することであった。紫外線照射条件は、上記「研究実績の概要」で述べたように決定できた。また、各臓器への紫外線影響について、DNAマイクロアレイを用いて、各臓器でmRNA量が変動するタンパク質を見出すことができた。さらに、これら変動の影響として各臓器でのCGRPが関与しているというメカニズム解明になる端緒を見出せたので、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、紫外線照射によって変動した遺伝子の、その変動メカニズムを解明する。 動物や、UV照射したマウスから得られた血漿あるいは、今回UV照射で上昇したCGRPを肝臓細胞、脂肪細胞等に添加し、中和抗体、アゴニスト、アンタゴニストなどを用い、タンパク質レベル、リン酸化の有無などでの検討を行い、メカニズムの解明を行う。手法としては、ウエスタンブロッティング、ELISA、real time PCR法などを用いる。 さらに、平成24年度、25年度の成果を、日本農芸化学会あるいは日本栄養・食糧学会で発表する。また、成果を報文にまとめ、発表する。発表論文としては、農芸化学系、栄養系あるいは皮膚科学系の雑誌を考えている。 また、平成26年度も含めて、メタボリックシンドロームに関与するモデル動物、例えば、高血糖、高血圧ラットに、紫外線を照射し、着目した遺伝子の変動をreal time PCR法等を用いて測定する。さらに、変動したタンパク質量を通常に戻す食事条件を検討する。具体的には、摂取脂質量、脂質の質での検討を考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
メカニズムを解明するために、細胞内タンパク質のリン酸化などについてウエスタンブロッティング法を用いて行う予定にしている。そのために、抗体、本方法を行うための試薬、器具などを購入する。 また、視床下部での紫外線照射による影響をさらに検討するために、動物実験、real time PCR法を用いたmRNA量を測定するための動物、試薬、器具を購入する。
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