研究課題/領域番号 |
24580204
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
津嶋 宏美 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (10080079)
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研究分担者 |
堂前 純子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70227700)
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キーワード | ABC A1ノックアウトマウス / ABC A7ノックアウトマウス / apoE欠損マウス / カベオリン / アディポカイン / 視床下部 |
研究概要 |
脂質異常症を呈する病態モデル動物(長期高脂肪食摂取ラット、ABCA1ノックアウト(KO)マウス、ABCA7 KOマウス、自然発症apoE欠損マウス)を用い、下記の結果を得た。 1)高大豆油含有飼料摂取群ラットの視床下部では、カベオリンmRNAの発現が、普通食摂取群に比較し有意に低下していた。2)ABC A1およびA7ノックアウトマウスの視床下部細胞膜画分と細胞質画分のカベオリンタンパク発現量を電気泳動ウエスタンブロティングにより測定した。カベオリンは細胞質にも発現しているが、大部分は細胞膜画分に存在していた。しかしながら、野生型と比較し、発現タンパク量には差が認められなかった。 3)ABC A1およびA7ノックアウトマウスの視床下部細胞膜画分と細胞質画分のチロシンリン酸化タンパク質の発現量を電気泳動ウエスタンブロティングにより測定した。細胞膜では、180 kDa と 80 kDa付近に陽性のバンドが認められたが、野生型との差は認められなかった。しかし、細胞質画分では80 kDa付近でのみ陽性バンドが認められ、ABC A1およびA7ノックアウトマウスで発現量が多い傾向にあった。4)ABC A1およびA7ノックアウトマウスの血中アディポカイン濃度をArray Kitを用いて検出したところ、Eotaxin、TNF-α、TIMP-1など数種の濃度が低下していた。5) 野生型マウスの視床下部カベオリンの分布を免疫組織染色で調べたところ、陽性細胞は極めて少なかった。6)自然発症apoE欠損マウスの体温は、野生型に比較し明期・暗期とも高い傾向にあった。行動量については、暗期で有意に増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ABC A1 および A7、apoEノックアウトマウスの飼育繁殖スペースが十分に確保できず、実験に必要な動物数が得られなかったことが、最も大きい要因である。また、行動解析に使用しているPCが、測定実施時に故障し、予定の週齢で実験が行えなかったなど、不都合が重なり、実験計画より遅れている。apoEノックアウトマウスについては、業者より自然発症apoE欠損マウスを入手できるので、これを代替として実験を開始した。行動実験や生化学的実験については、現在着手し、今年度中には結果が得られる。一方、25年度予定していた密度勾配法による脂質ラフト/カベオラ画分の抽出とコレステロール可視化は、高度な技術が必要で検討を重ねている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
必要実験動物数を確保するため、繁殖を加速させる。また、apoEノックアウトマウスについては、業者より自然発症apoE欠損マウスを入手できるので、これを代替として実験を行う。脂質異常症を呈する3種のマウスの行動実験および生化学実験は、従来行っていた手法を用いるものであり、問題なく実施できるので、予定より遅れているものの今年度中に終了できる見通しである。また、免疫組織化学的手法によるカベオリン分布の検討についても、着手しており、近々結果が得られる。今後、密度勾配法による脂質ラフト/カベオラ画分の抽出とコレステロール可視化については、共同研究者と検討を重ね全力を挙げる。
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次年度の研究費の使用計画 |
脂質異常症を呈する実験動物の繁殖が滞り、実験を計画通り実施することができなかった。 実験動物の繁殖は、現在は順調なので実験を開始している。また、apoEノックアウトマウスについては、自然発症apoE欠損マウスを業者より入手できるので、これを代替実験動物として実験を開始している。今回の残金は、血中アディポカイン濃度測定用キット(約10万円)、免疫組織化学染色・電子顕微鏡標本作成委託費(約20万円)、脳組織脂肪酸プロファイル作成用試薬(約5万円)、代替の自然発症apoE欠損マウス購入(約10万円)の一部に使用する予定である。
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