虫害を受けたブナ林でも無被害の個体は混在するため、虫害に対する防御の程度には個体差があると言える。一方、ブナの開花程度も個体によって異なり、頻繁に開花する個体とそうでない個体があることが存在する。そこで、本研究では個体ごとに繁殖履歴と葉の物理的・化学的防御形質を測定し、繁殖頻度と被害度および防御形質との相関を解析した。平成24年~26年の3年間で、東北地方のブナ林は凶作→並作→凶作となった。平成25年の並作年には、個体によって繁殖程度が大きくことなっていることが明らかになった。同様に、物理的、化学的防御形質も個体差が認められた。しかし、両者には明確なトレード・オフの関係は検出されなかった。
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