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2012 年度 実施状況報告書

火山灰堆積地の生態系回復における化学的改変者と物理的改変者の効果

研究課題

研究課題/領域番号 24580212
研究種目

基盤研究(C)

研究機関筑波大学

研究代表者

上條 隆志  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10301079)

研究分担者 橋本 啓史  名城大学, 農学部, 助教 (30434616)
田村 憲司  筑波大学, 生命環境系, 教授 (70211373)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード火山 / 生態系改変者 / ミミズ / 窒素固定植物 / 分解 / 土壌 / 三宅島 / 遷移
研究概要

ミミズは、生態系改変者として知られ、土壌生成に重要な役割を持つ。その一方で、ミミズはリターなどの植物起源の有機物を餌としており、その分布と個体数は、植生やリターの質に影響を受ける。三宅島の2000年噴火火山灰上では、ハチジョウススキと窒素固定植物のオオバヤシャブシが遷移初期種として侵入している。当該年度研究では、これら遷移初期種の相違に着目し、これらの種がミミズに与える影響を、分布調査とミミズと植物の安定同位分析から明らかにすることを目的とした。
火山灰の堆積が厚く、両種が優占する地域において、ハンドソーティング法によりミミズを採集した。採集したミミズは安定同位体分析に用いた。C3植物とC4植物では炭素同位体比の値が異なり、餌の炭素源の推定に使用できる。そこでミミズの餌資源を推定するため、オオバヤシャブシ(C3)、ハチジョウススキ(C4)の葉とミミズのδ13Cとδ15Nの値を測定した。
植生タイプ間でミミズの個体数を比較した結果、ハチジョウススキ草原下よりもオオバヤシャブシ低木林下で有意に密度が高かった。安定同位体分析の結果、δ13Cの値はオオバヤシャブシで-29.63~-28.78‰の範囲、ハチジョウススキで-12.24~-12.20‰の範囲と値が大きく異なった。ミミズのδ13Cの値は、濃縮率を考慮すると、-25.18~-15.08‰の範囲となった。この値は、オオバヤシャブシとハチジョウススキの間に位置しており、どちらとも摂食していることが示された。一方、リター量は、ハチジョウススキのリターが64~95%を占めていた。リターの存在割合から考えると、ミミズは多量に存在するハチジョウススキを摂食しているだけでなく、窒素含有率が高いオオバヤシャブシの葉をやや選好的に摂食していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

三宅島におけるミミズと植生に関する現地調査とミミズと植物の安定同位体分析は、計画以上に進んだ。また、中大型ミミズの飼育実験(予備実験)は、当該年度中には開始できなかったものの、実験用の火山灰を筑波大学の実験室に持ち帰ることができ、室内実験の開始準備が整ってきた。

今後の研究の推進方策

安定同位体を用いた分析がミミズの餌となるリターを推定するのに有効であることが、研究結果から確認できた。今後は、データ数を増やし、結果の信頼性を高める。そのため、三宅島で、ミミズと植生に関する現地調査を行う。サンプリングしたミミズ等について、安定同位体分析を行う。
現地の土壌をサンプリングし、土壌の団粒分析を行い、ミミズの生育状況と土壌との関係を検討する。
ミミズが土壌生成に与える影響を明らかにするために、筑波大学において、ミミズの飼育実験を行う。飼育実験に用いたミミズの安定同位体分析と土壌の団粒分析を行う。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 三宅島の火山灰堆積地に侵入した遷移初期種と中大型ミミズの関係

    • 著者名/発表者名
      門倉由季・上條隆志・橋本啓史・金子信博・菅原 優
    • 学会等名
      日本生態学会第60回大会
    • 発表場所
      静岡市,静岡県コンベンションアーツセンター
  • [学会発表] 三宅島2000年噴火後の植生発達と植物リター分解及び土壌動物相の関係

    • 著者名/発表者名
      菅原 優・上條隆志・吉田智弘・黛 絵美・加藤和弘
    • 学会等名
      日本生態学会第60回大会
    • 発表場所
      静岡市,静岡県コンベンションアーツセンター

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公開日: 2014-07-24  

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