研究課題/領域番号 |
24580213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
有賀 一広 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (60313079)
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研究分担者 |
吉岡 拓如 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00409070)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 森林バイオマス / 経済分析 / 利用可能量 / エネルギー収支分析 / 従来型作業 / 機械化作業 / 廃棄過程 |
研究概要 |
申請者らはこれまでに栃木県を対象として、森林GISデータと森林施業履歴を用いて森林バイオマス発生量や利用可能量を推定してきた。ただし、これらの研究では、初回間伐、2回目間伐、主伐においてある一定の木材利用率を想定し、残材を森林バイオマスとして収穫することを想定したが、木材利用率は地位、地利、木材価格など様々な要因によって変化するため、これらを考慮したより正確な発生量・利用可能量算定モデルを構築する必要がある。さらに、このモデルを利用して、団地化や路網整備による利用可能量増加の可能性について検討するとともに、経済収支のみならず、エネルギー収支に関しても正確な評価モデルを構築し、これを用いて評価する必要がある。そのために、本年度は下記の項目について研究を実施した。 1)これまでに構築してきた林地傾斜、集材距離、作業面積、収穫量などを基準とした収穫費用算出式に丸太材積を変数として組み入れることにより、小径木を扱う場合には、作業時間の増加、生産性の低下、収穫費用の増加を表すことができるような収穫費用算出式を構築するために、平成24年度は栃木県内の森林組合において、チェーンソー伐倒造材、ミニグラップル集積、林内作業車集材からなる従来型作業と、チェーンソー伐倒、グラップル集積、プロセッサ造材、フォワーダ集材からなる機械化作業について詳細な時間観測を行い、取り扱う丸太材積と作業時間の関係を調査した。 2)廃棄過程も考慮することができるエネルギー収支分析手法を構築するために、林業機械や発電所等の設備の廃棄状況に関して聞き取り調査や各種文献調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに構築してきた林地傾斜、集材距離、作業面積、収穫量などを基準とした収穫費用算出式に丸太材積を変数として組み入れることにより、小径木を扱う場合には、作業時間の増加、生産性の低下、収穫費用の増加を表すことができるような収穫費用算出式を構築するために、平成24年度は栃木県内の森林組合などの作業現場において詳細な時間観測を予定通り行い、取り扱う丸太材積と作業時間の関係を調査した。さらに、廃棄過程も考慮することができるエネルギー収支分析手法を構築するために、林業機械や発電所等の設備の廃棄状況に関して聞き取り調査や各種文献調査を行い、当初計画していた研究内容を予定通り実行したため、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は1)平成24年度に調査・入力したデータを基に、丸太材積と作業時間の関係を分析し、その結果を用いて、新たに丸太材積を変数とした収穫費用算出式を構築する。これにより、利益を最大化するような最適採材手法を構築し、利益が最大となる木材利用率・森林バイオマス率を推定する。 2)収穫費用算出式を森林GISデータに適用して小班ごとに、森林バイオマスの収穫費用を算定し、想定した買取価格と比較し、経済性が成り立つ林地から搬出される森林バイオマス発生量を利用可能量として推定する。 なお、当初、平成25年度に廃棄過程も考慮することができるエネルギー収支分析手法を構築する予定であったが、研究分担者が長期海外出張のため、平成26年度に行うこととする。 したがって、平成26年度は1)森林バイオマス発生量・利用可能量算定モデルに、新たに構築する団地化や路網整備手法を適用して、団地化や路網整備による利用可能量増加の可能性について検討する。 2)平成24年度に行った林業機械や発電所等の設備の廃棄状況に関する聞き取り調査や各種文献調査の結果を解析し、廃棄過程も考慮することができるエネルギー収支分析手法を構築する。さらに経済収支のみならず、上記で構築するエネルギー収支分析手法を用いて、正確に森林バイオマスのエネルギー利用におけるエネルギー収支を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
印刷中の論文の別刷代を、別刷が印刷されてから支払うため、別刷代を留保した。これは翌年度使用予定の研究費と合わせて、別刷が印刷された時点で支出する予定である。
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