研究課題/領域番号 |
24580214
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 秀夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70126069)
|
研究分担者 |
櫻井 倫 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50451836)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | バイオマス / サプライチェーン / ウィンチ / 農業用トラクタ / チッパー |
研究概要 |
ウィンチ付農業用トラクタによる全木集材作業調査を北海道鶴居村(平坦地形)および高知県香美市(急峻地形)で行い、傾斜条件ごとに作業能率を分析した。その結果、木寄距離が50m以内ならば、傾斜によるコストのちがいはわずかであり、2000円/m3で搬出でき、全木集材に有用であることを確認した。しかし、木寄距離が50mを越えるとウィンチによる地引き集材では限界があり、タワーなどのアタッチメントに変えたほうがよいことを明らかにした。 チッピングシステムに関して、現行のチッパーの価格が性能の割に高く、機械費がコストを圧迫していることを示し、移動式小形チッパーを活用したあらたなバイオマス利用のビジネスモデルの提言を行った(「森林技術」2013年3月号)。 木質バイオマスサプライチェーンの構築にむけて、林内路網のインフラ整備が不可欠であるが、路網作設現場において、支障木伐根のエネルギー利用化にむけて、伐根掘取作業の調査を行い、伐根径の2乗に対する作業能率の式を得ることができた。この結果は、タイ国ゴムプランテーションの再造林時における伐根のバイオマスエネルギー利用に応用予定である。 合板工場への原材料納入やバイオマスエネルギー利用状況調査を行い、サプライチェーンの消費者サイドにおけるデータを収集した(北海道津別町)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
枝条残材や低質材の木質バイオマス有効利用とサプライチェーン構築にむけて、全木集材の確立は不可欠と考える。平成24年度は、平坦地および急傾斜地において、トラクタウィンチ作業の生産性やコストについて時間観測調査を行い、作業モデルに関して目的どおりの成果をあげ、国際会議(ノルウェー、2013年6月)およびにJournal of Forest Engineeringに発表予定である。また、チッピングシステムに関して、大形チッパーと移動式小形チッパーの生産性とコストを調べ、移動式小形チッパーの必要性と有用性を明らかにし、国際会議(チェコ、2013年5月)で発表するとともに、Journal of Forest Researchに投稿し、バイオマス利用のビジネスモデルの提言を行うことができた(「森林技術」2013年3月号)。25年度にむけて、サプライチェーン構築のための基礎研究を行うことができた。合板工場への原材料納入やバイオマスエネルギー利用状況について聞き取り調査を行い、25年度に行うバイオマスサプライチェーンモデル構築の準備を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
山元とユーザの連携モデルを構築し、サプライチェーンを推進する因子を抽出する。前年度に引き続き、中間土場とチッピングの解析をすすめ、ロジスティックスモデルの構築を行う。 山元からのチップ供給およびバイオマスによる熱供給モデル事業の提案を行う(岩手県)。 タイ国ゴムプランテーションでの根株のバイオマス利用サプライチェーンへの応用について、引き続き分析を行う(研究協力者Rianthakool)。
|
次年度の研究費の使用計画 |
未使用0
|