研究課題/領域番号 |
24580215
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
龍原 哲 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40227103)
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キーワード | 森林計画 / 0-1整数計画法 / 高齢林 / 地理情報システム |
研究概要 |
本年度は、利用可能な労働力を考慮し、2種類の輪伐期を含む長期収穫計画モデルを定式化し、東京大学千葉演習林のスギ及びヒノキ人工林小班の長期計画策定に適用した。80年輪伐期の皆伐、160年輪伐期の皆伐、施業を行わない、という3種類の施業体系を想定した。数値標高モデルから算出された地形因子を用いて区分したスギおよびヒノキの地位級から各小班の地位級を決定した。各小班における収入や必要労働量を計算するため、各小班の林齢、樹種、面積、周囲長を森林簿より求め、地理情報システムを用いて小班ごとに斜面傾斜角、道路からの距離、最大集材距離、平均集材距離を算出した。小班ごとに施業体系別の収穫量、収入、必要労働量を算出した。その際、ニホンジカの植栽苗食害の対策として防獣柵設置に必要な労働量も考慮した。0-1整数計画法を用いて、分期ごとの労働量を一定範囲内に収め、計画期間の収穫材積合計を最大とする長期収穫計画モデルを定式化した。そのモデルを用いて、367小班を対象とした160年間の収穫計画を策定した。最初に、下限値として想定した面積を皆伐するために必要となる労働量を計算した。そして、その値から労働量を徐々に増加させていき、労働量の変化が皆伐箇所、皆伐面積、収入に与える影響を分析した。木材生産に適した小班は皆伐施業に割り当てられる傾向があった。地位のよい小班は短伐期の皆伐施業に割り当てられ、集材距離の短い小班は長伐期の皆伐施業に割り当てられる傾向があった。利用可能な労働力を増加させると、木材生産に適していない小班も皆伐施業に割り当てられるようになり、労働量当たりの収入と労働量当たりの皆伐面積は減少した。長伐期施業は労働力が少ない場合には効率的であるが、短伐期施業は労働力が多くなるとより効率的になることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、本研究の中心課題である複数の施業体系を含む長期収穫計画モデルの基本型を定式化することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度定式化した長期収穫計画モデルを発展させる。特に、計画を策定する際に想定する施業体系の数を増やすことと、計画対象の小班数を増やすことについて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文の印刷が当初の計画より遅れて、次年度になった。そのため、論文の別刷り代金の支出が遅れて、物品費の支出が予定より少なくなった。また、研究成果広報用ホームページの作成業務委託を次年度に行うことに変更し、その他の支出が予定より少なくなった。 平成25年度中に投稿した論文が平成26年度に印刷されることが決まったので、論文の別刷り代金として平成26年度に使用する予定である。また、研究成果広報用ホームページの作成業務を委託する費用として使用する予定である。
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