研究課題/領域番号 |
24580223
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
百村 帝彦 九州大学, 熱帯農学研究センター, 准教授 (80360783)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換:ラオス |
研究概要 |
ラオスの森林管理に関する文献・資料調査を通し、地域住民の森林利用権の制度について重要と考えられる動向が以下の3つであることが分かった。①森林法の改定による地域住民の森林利用権への配慮の明記の検討、②国レベル生産林において、木材伐採時に地域住民と政府との共同森林管理を認める法制度が策定された。③地域住民の集団的土地所有権を認める法制度案の施行がなされた。 とくに①の森林法の動向は、法制度上で地域住民の権利化することとなり、今後のキーとなるものである。②は、2000年ごろに「共同森林管理」の概念が世界銀行などから提案されたが、その際には日の目を見ることがなかった法制度であるが、今回の法制度制定によって公式に認められることになったことは、画期的である。③についても、まだ萌芽の段階とはいえるが、この動向は今後も注視する必要がある。分権化と経済開発のはざまで、ラオス政府がどのような方向へと舵を取り、またアクターの動向がどのように展開されるのかについて、引き続き注していく必要がある。 現地調査については、南部の保護地域・生産林地域を中心に調査を行い、地域住民・地方行政の主なアクターの役割・権利・義務を明らかにした。法制度に大きな展開がみられる中、現地での土地・森林利用に大きな変化は見られなかった。むしろ、経済開発による商品作物の栽培による土地の囲い込み、違法伐採の横行が顕著になってきたように見とれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
森林関連法制度の文献調査は比較的順調に進んでいる。現在の法制度改定の動き、法制度はほぼ把握することができている状況である。ただし現在、ラオスでは中央政府機関の再編成が進んでおり、この点は注意深く見なければならない。これまで農林省林野局にあった森林行政機能の一部が、新たに設置された自然資源管理省へと移管されている。今後社会関係資本として各アクターの動向を探る際、このような動向を把握しておくことは重要である。 2012年度の現地調査は、保護地域・生産林地域を主な対象に実施したが、2013年度中に本格的な調査の実施を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は、ラオスの中央政府機関の再編成の動向に注視しつつ、法制度等の文献レビューを進める。再編成によるアクターの位置づけの変更があるので、その点にも留意する。 また今年度は3年間のうちで2年目にあたるので、本格現地調査を実施することを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度は、予定していたラオス調査が2回ではなく1回になったので、予算執行が一部持ち越しとなっている。今年度は、ラオスへの現地調査を2回にわたって行い、森林管理の実態を把握するとともに、アクターごとに権利・役割を明確化する。また現地調査の際に、研究協力機関であるラオス国立大学の若手教員に対して研究補助費を支払いつつ、協力を得て実施する。
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