研究課題/領域番号 |
24580226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
田中 伸彦 東海大学, 観光学部, 教授 (70353761)
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研究分担者 |
伊藤 太一 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (40175203)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 里山 / 観光 / デスティネーション / 地理的評価 / 公刊図書分析 / 福島県 / 茨城県 / 神奈川県 |
研究概要 |
里山に対するレジャー観のマクロ分析として、二つの調査を遂行した。 一つ目として「学術・行政文献レビューによる里山研究・施策の現況把握」分析を行った。この分析では、林野行政および林学分野における近代以降の学術の動向、行政の動向を総括した上で、対象を里山に絞って研究・施策の現況を把握し直し、課題を抽出した。続いて、「公刊図書等の悉皆分析に基づいた里山レジャー観」の分析を行った。この分析では、里山をタイトルに掲げた公刊図書に着目し、国立国会図書館のNDL Searchの検索結果に基づき文献を悉皆的に収集した。次に、NDC分類番号や著者の属性、対象地などの属性をデータベース化し、里山利用の多様性の実態を類型化した。これらの成果の一部については、日本観光研究学会や日本観光学会などで発表等をを行った。 二つ目として「現地調査に基づいた里山のデスティネーション性の検証」を行った。これは里山団体や行政等への聞き取り調査を行った上で観光資源・施設データを解析し、里山の観光デスティネーション性を地理的に評価する調査である。都市近郊対象地としては、当初の調査予定地である茨城県霞ヶ浦流域に加えて、神奈川県中西部の地域の調査も行った。中山間対象地については、予定の福島県南会津地域を主たる対象地域とし、山形県北部も追加して調査した。特に、地域における里山の観光レクリエーション的な活用実態に基づき、観光資源・施設の集散状況を取り纏める手法について検討した。これらの成果についてはWorld Leisure Congressや日本レジャー・レクリエーション学会などで学会発表を行なった。 以上の成果については、森林施業研究会(於:福島県只見町)や日本造園学会関東支部会(於:茨城県つくば市)における地元の公開シンポジウムや、インターネット講義プログラムの作成などを通じて、一般市民への成果還元にもつとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「学術・行政文献レビューによる里山研究・施策の現況把握」分析については、概ね予定どおり進捗していると評価できる。里山に関する一般書を検索するためのデータベースとして、国立国会図書館のNDL Searchが2012年度から詳細に活用できるようになったため、当初予定していたものよりも多様な情報を得ることができた。25年度には、24年度に取りまとめた成果について、学術的なエビデンス性を高めるために、論文投稿を着実に進めていく予定である。 「現地調査に基づいた里山のデスティネーション性の検証」については、当初の予定地であった「茨城県霞ヶ浦流域」と「福島県南会津地域」に加えて「神奈川県中西部地域(丹沢地域・湘南平塚地域・箱根地域)」や「山形県北部(最上地域)」における検討を行うことができたことが、当初の計画以上に進展した内容と評価できる。24年度に取りまとめた成果については学会発表を中心に公表してきたが、25年度には論文投稿を着実に進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
「里山レジャー観の多様性分析」を行う。この課題については、24年度に作成したデータベースおよび里山活用実態の調査成果を活用して、データベースのクロス集計分析などを活用し、人と里山との余暇的関わり方のバリエーションの多様度を統計的に定量分析し、類型化することを目標とする。 また、24年度に引き続き「現地調査に基づいた里山のデスティネーション性の検証」を行う。主たる対象調査地域は、「茨城県霞ヶ浦流域」および「福島県南会津地域」とすることはそのままとし、余力に応じて首都圏で解析可能な地域がある場合には、比較検証の材料として追加分析する可能性を残す。 具体的には、24年度に行った里山管理団体や行政への実態調査や、一般市民の里山レジャー観の定量的検証の成果に基づき、都市近郊における里山のレジャー観の活用実態と将来に向けた観光ポテンシャルの増加を、地理的に定量評価する手法の開発を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
分担研究者の伊藤太一(筑波大学)が、ブラジルで開催される国際森林研究機関連合(International Union of Forest Research Organization)主催の国際研究集会での発表を行うことにしたが、平成25年4月開催となったため、資金の一部(228,293円)を平成25年度に繰り越した。
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