研究課題/領域番号 |
24580226
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
田中 伸彦 東海大学, 観光学部, 教授 (70353761)
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研究分担者 |
伊藤 太一 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (40175203)
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キーワード | 里山 / デスティネーション / 観光資源 / 地域マネジメント |
研究概要 |
「里山に対するレジャー観の多様性分析」を行った。具体的には、里山に対する一般的な関心や嗜好の実態を明らかにする目的で、タイトルに里山を冠して過去に有償出版された公刊図書を対象に悉皆分析を行った。データの抽出には国立国会図書館の検索データベースNDL Searchを活用した。その結果、269件の「里山本」が確認され、最初の「里山本」は1985年に出版され、平成期とともにコンスタントに出版されるようになったこと、21世紀に入ってからは常に年10~20件程度の出版状況にあることなどが確認できた。また、既存の林野施策の年表や総説、歴史的研究を参照し、1970年代から1990年代にかけての観光レクリエーションに関わる施策の動向を取りまとめた。その結果、①1970年代から1980年代半ばにかけての、それまで国有林に主軸をおいていた森林観光レク施策が民有林でも積極的に展開されるようになった時期、そして②1980年代後半から20世紀末にかけての、バブル期における民間主導の開発型の施策から不況期における非開発型の施策へと様相を変化させながらも、森林観光レク施策の著しい多様化が行われるようになった時期の2つにまとめられた。 加えて、「茨城県霞ヶ浦流域」および「福島県南会津地域」を主たる対象調査地域として「現地調査に基づいた里山のデスティネーション性の検証」をおこなうとともに、そのデスティネーション性を地理的に定量評価する手法の開発を進めた。本年度は、観光学が多様なディシプリンに支えられた「地域マネジメント(管理)学」と会社や組織等の「マネジメント(経営)学」いう、2つの領域学に支えられる「メタ領域学」という体系で説明できることを提示するとともに、観光レクリエーションに利用されるデスティネーションの地理的集散状況の経年変化を定量的にモニタリングする手法の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「里山に対するレジャー観の多様性分析」においては、国立国会図書館の既存データベースを活用する分析を取り纏めを行うことができ、日本森林学会誌に掲載が確定している。また、、既存の林野施策から見た里山トウのレジャー観の多様化に関する内容も取りまとめることができ、論文を林業経済誌へ投稿をしている(現在審査中)。 「現地調査に基づいた里山のデスティネーション性の検証」についても、概念的な検討および事例調査を予定どおり進めることができ、前者は日本観光研究学会論文集で公表するとともに、後者は日本レジャー・レクリエーション学会において成果の一部を学会発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度にあたる。 「現地調査に基づいた里山のデスティネーション性の検証」を取りまとめるとともに、そのデスティネーション性を地理的に定量評価する手法を提示する。加えて、初年度から最終年度までおこなった研究成果を、報告書形式で取りまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度に開催され、出席予定である国際学会大会(IUFRO, World Leisure Congress)の大会参加早期受付及び要旨提出の締め切り日などが、当初3月であったものが5月末まで延長された。そのため、それらに係る手続きの諸費用を年度を跨いで繰り越すこととした。 繰越額は、国際学会大会の大会参加及び要旨提出諸費用に充当する。
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