ハンノキ属樹種は放線菌のフランキアと根で共生し大気中の窒素を利用する窒素固定能力を持つ。1984年に発生した木曽御嶽山の岩屑流跡地に更新したハンノキ属数樹種の窒素固定能力を、窒素安定同位体比を用いた手法により評価した。その結果、植生の回復が早い低標高(約1100 m)に生育するケヤマハンノキが、高標高(約2000 m)のミヤマハンノキとヤハズハンノキに比べて窒素固定能力が低いこと、高標高の2樹種間では窒素固定能力に差がないことが明らかになった。撹乱後30年たった現在、植生回復に伴う土壌の肥沃化の影響があるものの、依然としてハンノキ属樹種の窒素固定能力が高く維持されていることが示唆された。
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