• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

微生物ナノファイバー紡糸装置における繊維排出機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24580241
研究種目

基盤研究(C)

研究機関信州大学

研究代表者

天野 良彦  信州大学, 工学部, 教授 (80273069)

研究分担者 奥田 一雄  高知大学, 教育研究部, 教授 (40152417)
水野 正浩  信州大学, 工学部, 助教 (60432168)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードセルロース合成 / バクテリアセルロース / 酢酸菌
研究概要

A. bogorensisは非常に微細な繊維を菌体外に排出する。細胞膜に固定化されたこの特殊な紡糸装置の構造及びその防止機構を解明するため、タンパク質複合体の構造を明らかにすることを目的としている。本年度はタンパク質複合体のうち特にCesD遺伝子をターゲットとして、大腸菌を宿主とする発現用ベクターを用いて異種発現生産を行った。また組換え生産したタンパク質をニッケルカラムによる精製を行い電気泳動的に単一になるまで精製した。
ついで、精製した組換えCesDタンパク質を抗原として抗体を外部委託により作成した。この抗体を用いて、免疫染色を行い、抗体が機能することを確認した。ターミナルコンプレックス(TC:セルロース合成タンパク質複合体)の局在を電顕下で確認するため、CesD抗体を用いたTCのラベル化条件を検討した。また、高知大学においては来年度に予定するフリーズ・フラクチャーによる外膜・内膜表面観察のための条件検討を行い、準備が整った。
CesDの立体構造解析のため、CesDタンパク質の結晶化条件をスクリーニングキットを用いて検討し、結晶の析出条件を絞り込んだ。現在は、さらに結晶構造の解析に好ましい結晶の作成を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

A. bogorensisのCesD遺伝子を大腸菌を宿主とする発現用ベクターを用いて発現させることに成功し、組換え生産したタンパク質を電気泳動的に単一になるまで精製することができた。ついで、精製した組換えCesDタンパク質を抗原として抗体を外部委託により作製し、この抗体を用いて免疫染色を行い、抗体が機能することを確認した。さらに、高知大学においては来年度に予定するフリーズ・フラクチャーによる外膜・内膜表面観察のための条件検討を行い、観察の準備が整った。
また、CesDの立体構造解析のため、CesDタンパク質の結晶化条件をスクリーニングキットを用いて検討した結果、0.1×0.1×0.1mm程度の微結晶が精製する条件を見出した。さらに結晶楮の解析適する結晶の作成に成功し、次年度の解析の準備が整った。
以上のように、次年度のTCの細胞膜上の局在を観察する準備が整い、またX線構造解析を行うための結晶作成条件の絞り込みができたことから、次年度の成果が期待できる成果が収められたので、計画通りに進捗していると判断した。

今後の研究の推進方策

(1)電子顕微鏡によるTCの局在決定については次の項目について行う。①CesD抗体を用いたTCのラベル化条件検討:24年度に引き続き、フリーズ・フラクチャー法に適したラベル化の条件検討を行う。②フリーズ・フラクチャー法の検討:菌体を凍結処理後、上記②で検討した条件によりCesDをラベル化し、内膜及び外側の両面の観察を行う。ラベル化されたCesDから、TCの配列状況を分析する。また、CesDのアミノ酸配列中にはシグナル配列があることから、CesDは分泌蛋白質として生産されていると推測される。この(2)CesDがTCのどの部位に局在するかは、セルロース鎖の排出機構において非常に重要であるので、CesDの局在部位の特定を行う。CesDの立体構造解析については次の項目について進める。
①結晶化条件の検討:24年度に引き続き、結晶化条件の検討を試みる。②回折強度測定:24年度と同様、主に放射光施設の利用を行う。ビームタイム等の問題で、利用時間が稼げない場合は、X線発生装置を有する施設の利用を検討する。③立体構造の構築及び精密化:G. xylinus由来CesDの立体構造を鋳型にした分子置換法が可能であれば、それにより構造の精密化を行う。それが出来ない場合は、セレノメチオニン等の重原子を導入した結晶を作製し、多波長異常分散法などにより構造決定を行う。

次年度の研究費の使用計画

前年度は、抗体作成に時間を要したために、これを持参して高知大で一緒に実験する計画が実行できなかったので、旅費が繰り越しになっている。この分について本年度、高知大を訪問して実験するための移動費として使用予定である。
今年度については設備の導入計画はない。研究を遂行するための消耗品として遺伝子工学試薬、蛋白質精製試薬、蛋白質結晶化試薬、顕微鏡用消耗品、ガラス器具、プラスチック器具などを購入するため100万円を計上した。また、旅費については学会発表および高知大との研究打合せで、35万円を予定している。そのほか謝金や論文投稿代として30万円を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Comparison of the assembly of cellulose microfibrils in Gluconacetobacter xylinus and Asaia bogorensis.2012

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Mizuno, Akio Kumagai, Kouichi Nozaki, Kazuo Okuda, Inder M. Saxena, Yoshihiko Amano
    • 学会等名
      3rd International Cellulose Conference
    • 発表場所
      Sapporo, Japan
    • 年月日
      20121010-20121012
  • [図書] セルロースの面白科学とびっくり活用2012

    • 著者名/発表者名
      セルロース学会編
    • 総ページ数
      22-23,130-131
    • 出版者
      講談社

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi