研究課題/領域番号 |
24580245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
会見 忠則 鳥取大学, 農学部, 教授 (90264928)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | きのこ / 菌床栽培 / ツキヨタケ / 米糠 / 小麦ふすま / 子実体発生 / イルジンS / ブナおが屑 |
研究概要 |
本年度は,鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター保有のTUFC株43種,63菌株を用いた.培地は,ブナおがくずを基材に,米ぬか,小麦ふすま,コーングリッツを栄養剤として用い,pH調整を目的とした,苦土石灰を添加・無添加について検討した.それぞれの培地は,基材を混合後,水分含量を70%にし滅菌した後,植菌後25℃で培養した.その結果,ブナおが:米ヌカで7菌株,ブナおが:米ヌカ:苦土石灰で7菌株,ブナおが:フスマで1菌株,ブナおが:フスマ:苦土石灰で13菌株,ブナおが:コーンで0菌株,ブナおが:コーン:苦土石灰で,0菌株の菌糸の蔓延が確認できた.菌糸が蔓延したものについは,温度15℃,湿度85%の発生室に移し,子実体の発生を試みた.その結果,これまでのところ,3種,3菌株について,子実体の発生が,確認できた.本年度の研究では,米ぬか及び小麦ふすまは,きのこの子実体発生に非常に有効な栄養剤であることが確認できた.一方,コーングリッツは,一部の菌根菌では,有効であることが報告されているが,今回は,全く効果が見られなかった.さらに,米ぬか及びふすまを用いた培地でも全く菌糸の蔓延しない菌株も存在したことから,さらなる,栄養剤の検討が必要であることが解った.次に,子実体を発生させる必要性を確認するために,医実体発生が確認できた菌株の内,ツキヨタケについて,その毒成分であるイルジンSの含量について,検討したところ,栽培した子実体では,安定した量が検出されたが,自然界から採集した子実体のイルジンSの含量は安定せず,全く含まれないものから,菌床栽培のモノよりも多く含むものもあった.また,菌糸体では,ほとんど検出することができなかったことから,きのこの生理活性成分を生産する場合,安定供給という観点からも,菌床栽培による材料の供給が最も相応しい方法であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター保有のTUFC株43種,63菌株を用いたところ,14菌株で菌糸が蔓延し,3菌株で子実体を発生させることができた.菌糸体で,長期に継代培養などで,保存すると子実体発生能が低下する,もしくは,失ってしまうことが知られていることから,5%の菌株で,子実体発生が確認できたことは,かなりの高率ではないかと考えられる.また,蔓延したが,子実体が発生していない菌株も22%あり,これらも,子実体発生条件を検討することにより,発生が確認できる可能性があり,研究が,順調に進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,24年度で使用した TUFC株43種,63菌株の内,菌糸が蔓延しなかった49菌株について,新たな栄養剤の検討を行う.また,新たな鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター保有菌株についても,本年度と同様の検討を行い,米ぬか及び小麦ふすまにより,菌糸体蔓延ならびに子実体発生する菌株を網羅的に探索する.その他に,本年度の研究で米ぬかまたは小麦ふすまにより菌床に菌糸が蔓延が確認できた14菌株については,発生温度,発生湿度,覆土の必要性について検討を行い,子実体の発生を試みる.以上により,さらに,多くの菌株の子実体発生が可能になると考えられる.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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