本年度は,毒きのことしてニガクリタケ,ツキヨタケの栽培条件の確立を行った.同時に,ドクササコの人工栽培に向けた,ドクササコ及びその近縁種,そして,漢方薬として重宝されているサルノコシカケ類の菌糸伸長における各種栄養剤の影響の検討を行った.使用した菌株は,鳥取大学農学部に保存していたCollybia属(14種23株)、Clitocybe属(10種14株)、Dendropolyporus属(2種2株)、Ganoderma属(5種5株)、Galerina属(1種1株)、Gymnopilus属(3種3株)、Hypholoma属(1種5株)、Laetiporus属(2種2株)、Lepista属(4種6株)、Pholiota属(1種1株)を用いた.基材はブナおが粉を用い、栄養剤は米ヌカ、小麦フスマ、コーングリッツの3種を用いた。 その結果,相対的に米ヌカおよび小麦フスマを用いた時に良好なサルノコシカケ類であるGanoderma属やDendropolyporus属、Hypholoma属の菌糸は木粉培地において菌糸伸長が比較的容易であることが分かり、人工栽培が可能であると考えられた。しかし、ドクササコやその同属、同科のきのこでは木粉培地での菌糸伸長が困難であり,今後,腐葉土などの木粉とは異なる基材を用いた培地の検討が必要であると考えられた。 また、ニガクリタケ(Hypholoma fasciculare)D1株については,ブナ:フスマ培地,ツキヨタケ(Omphalotus guepiniformis)NBRC8765株については,ブナ:米ヌカ培地において,良好な子実体発生が,観察できたことから,これらの毒成分の解析に供試できるものと考えられる.
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