木部形成に特徴のある針葉樹について,オーキシン量,ジベレリン量および木部形成の季節経過を明らかにした。その結果,①雨量が少ない環境では,晩材形成が促進されるスギ品種があり,多量のジベレリンが形成層中に存在した。②植栽密度が異なるスギ品種において,ジベレリン量と木部形成との間に因果関係は認められなかったものの,6月までに形成された仮道管数とオーキシン量との間に正の相関関係が認められた。③高い晩材率をもつスラッシュパインでは,11月においても活発な晩材形成が観察され,多量のオーキシンが形成層中に存在した。晩材形成中の細胞分裂の促進は,ジベレリンではなくオーキシンが関与している可能性が示唆された。
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