東北地方の広瀬川において、サクラマスが従来よりも半年早い0歳魚の秋に川から海に降海すること、またこれらの降海魚は、仙台沿岸域を回遊し、翌春に河川に遡上することが示された。この現象の機構を解明するため、類縁種であるスチールヘッドトラウトを用いた行動解析を行ったところ、本種は水温が上昇した際に高水温域を忌避して移動することが示された。このことから、降海期の若齢化には河川内の水温環境が関係することが示唆された。また、同じく類縁種であるマスノスケの稚魚を円筒水槽で飼育し、上層・下層の魚を分離したところ、上層の魚がより若齢で降河行動を起こすことが示され、若齢降河魚を人為的に作出し得ることも示された。
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