研究課題/領域番号 |
24580260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邊 壮一 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (20507884)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アミノ酸輸送体 |
研究概要 |
平成24年度の研究遂行の結果、アミノ酸輸送体29種を同定し、その組織別発現プロファイルが明らかとなった。発現部位の特異性に着目すると、消化管、とくに腸管において極めて特異的に発現するものが9種同定された。これらの輸送体については消化管での栄養吸収に重要な役割を果たしていることが強く示唆された。また消化管以外の組織では、脳・腎臓において多くのアミノ酸輸送体遺伝子が発現していた。脳では血液脳関門をアミノ酸が選択的に通過するために重要な働きをしていることが考えられ、腎臓においては尿を生成する際のアミノ酸再吸収機構の成立の重要であることが示唆された。また脳・腎臓において発現が主にみられる輸送体については消化管で発現が確認されないものが多く見られ、アミノ酸輸送体発現調節についても消化管とそれ以外の器官で大きく異なることが示唆された。加えて、アミノ酸を利用した筋肉組織における細胞内浸透圧調節に関与すると考えられる輸送体についても探索を行ったが、筋肉に発現するアミノ酸輸送体は広範な発現を示すもののみで、特異的に発現する輸送体は見られなかった。このことは細胞内浸透圧調節にアミノ酸輸送体が関与すると仮定するならば、そのメカニズムは多くの組織において共通することが予想される。これら遺伝子発現解析研究と同時に、筋肉に着目して高浸透圧ストレス強度の違いによる遊離アミノ酸量上昇プロファイルの差異を時系列毎に詳細に検討した。その結果、細胞内遊離アミノ酸濃度の上昇はある一定の浸透圧ストレス強度を超過した際に見られ、ある一定の閾値を血液浸透圧が超えることが当該機構の活性化のトリガーとなっていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に示した内容について、遂行順序の前後は多少あるが、おおむね予定通りの成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞株におけるアミノ酸輸送体遺伝子発現プロファイルを確認する必要が生じ、アミノ酸輸送体遺伝子の同定を先行した。その結果、今年度実施予定であった培養細胞株の樹立およびそれを用いた研究計画について今年度においても実施する必要が生じることとなった。またアミノ酸輸送体遺伝子の同定も当初計画通り引き続き行う。その他の計画についても同様に当初計画通り実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度までに実施予定であった培養細胞株の樹立および細胞株を用いた研究を今年度も継続して実施する。またそれ以外の研究については当初の計画に従って実施する。
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