研究課題/領域番号 |
24580261
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
荒川 久幸 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (40242325)
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研究分担者 |
小橋 史明 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (80377077)
鈴木 秀和 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (90432062)
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キーワード | 日照時間 / 海藻群落 / 日本沿岸 / 伊豆諸島 / 海中照度 / 日射量 / テングサ |
研究概要 |
本研究は、(1)日照時間の変動が海中に到達する光エネルギーの量にどのように影響しているか、(2)日照時間の変動による海中の光エネルギーの変化が海藻群落にどのような影響を与えているのか、を全国の長期的なデータを基に解析し、明らかにすることを目的としている。いままでの研究により、日本沿岸各地の日照時間および日射量の経年変化から海中での日射量の変化を求め、近年資源減少の著しいテングサ群落への影響について検討した。 (1)に関して、全国各地の日照時間および日射量の資料は、気象庁データベースを使用した。その結果、全国平均は、50年間で約100時間の減少を示した。特に日本海、沖縄、伊豆諸島で減少が大きかった。 伊豆諸島は、三宅島で-198時間(-10%)、八丈島で-288時間(-16%)の変化であった。さらに全球の長期再解析データ(JRA25)を利用して、日照時間と雲量との関連を検討した。 (2)に関して、日本の沿岸海域で海水の光学的性質を調べた。三宅島、千葉県館山、鹿児島県種子島、の各沿岸において海中放射照度の測定を行った。海中放射照度測定は、水中分光放射照度計PRR-600(Biospherical Instruments社、USA)を使用して、下方向放射照度および光合成有効放射PARを測定した。また他の海域における海中照度測定を可能にするために、海中放射照度計算ソフトEcoLightVer.5とPRR600による実測値との関連を検討した。さらに海藻群落として三宅島のテングサ生息域を選定し、スクーバ潜水を行い、テングサ生息分布の観測を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)日照時間が経年的にどのくらいあるのか?(2)その変化が海藻群落にどの様な影響を及ぼすのか?を明らかにすることを目的としている。 (1)の日照の海中照度への影響に関しては、①日本沿岸域の日照時間の変化の解析が終了した。②雲量と日照時間の対応について、全球の長期再解析データを利用し、解析を行った。これらの結果から解析対象海域として伊豆諸島三宅島沿岸域を選定した。 ③各海域における海水の光学的性質について、海中放射照度計算ソフトEcoLight ver.5と実測値との対応を検討し、本ソフトで海中の照度を把握できるか検討した。EcoLightおよび実測結果をもとに各海域の水深におけるの照度の基礎データを算出中である。 (2)の海中照度の変化の海藻群落への影響に関しては、三宅島を対象海域として、経年的なテングサ群落の変化の調査を行った。 現場海域における海水中の照度の連続変化に関しては、海域の不安定が続いたため、25年度の作業を26年度に持ち越した。
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今後の研究の推進方策 |
三宅島のテングサ群落における照度環境(海中の日照時間、日射)を解析の中心とした。海中照度センサーを三宅島伊ヶ谷地区海域に設置し、長期の海中照度の分布を取得する予定である。このことにより、本研究計画のほぼすべてのデータ取得が完了する。いままでの調査・解析結果から、日射量の変動がテングサ群落に影響を与えている可能性に言及する。 (1)に関しては、リモートセンシング公開データのさらなる解析により、日本沿岸の日照時間の変化の詳細な検討を進める。日照時間については減少傾向にあるとの結果が示されたが、欠測などがあり、さらに詳細な検討が不可欠である。日照時間をもとに全天日射量の経年変化について検討する。日射量は直達日射および散乱日射に分離して算出する。 (2)に関しては、各沿岸域の海水の光学的性質データを他の海域においても収集する。対象海域は、現在までのデータ解析で日照時間の変化が著しい場所とし、伊豆諸島を選定した。また直接観測によってデータ取得できない海域については、海中光を求めることを目的に、海中照度計算アプリケーションHidrolight Ecolight Ver.5の解析結果を実測値と比較した。この結果、算出結果を直ちに海藻群落の分布との対応に用いることには注意が必要と考えられた。さらに伊豆諸島海域において海中の各水深の放射照度を計算中である。今後は海中放射照度計を現場海域に複数台設置して実測を行い、計算値の補正データを取得予定である。当初予定では、海中照度計の現場設置は平成24年度に行う予定であったが、設置場所の選定および天候不良に伴って、平成26年度に行うこととした。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度、複数回の調査を計画していたが、天候不良(台風)により調査回数を減じた。このため、調査にかかる出張旅費、人件費、およびその他の経費などが計画を下回り、次年度への繰り越しが生じた。一方、データ解析およびシミュレーションを進めることができた。 年度初めから海中へのセンサ設置を行い、現場調査の回数を増やす。同時に複数台のセンサーを海中に設置し、水深ごとのデータを取得する。このことにより、当初計画の支出と過不足がなくなると考えている。平成26年度の研究費の主な使用計画は以下のとおりである。 ①海域の光学的性質の調査旅費(伊豆諸島(八丈島、三宅島)):本調査海域は日照の変化の大きな海域であり、海藻群落への影響が顕著に表れている可能性が高い。長期の海中照度の変動の把握およびテングサ群落の定量的な把握。②設置用海中照度計1台新規購入(海藻群落の照度計測に必要:平成25年度1台購入):本装置の導入により海藻群落の海中照度の長期間の変化を把握でき、計算値の精度把握や補正に不可欠である。設置場所は2-3か所とする。③そのほかの実験に必要な消耗品④調査およびデータ解析のための人件費、である。
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