研究課題/領域番号 |
24580268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
足立 真佐雄 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (70274363)
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研究分担者 |
大西 浩平 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (50211800)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 有害・有毒プランクトン / 形質転換 / ウイルスプロモーター |
研究概要 |
1、プランクトン感染性ウイルス由来のプロモーターの分離 ノリの色落ちの原因藻の1種として知られる珪藻Rhizosolenia属に感染するウイルスさらには魚類の斃死を引き起こすラフィド藻Heterosigma akashiwoに感染するウイルスに注目し、連携研究者から分譲を受けたこれらのウイルス粒子より、ゲノムDNAをそれぞれ抽出した。同時に、提供を受けたウイルスのゲノムDNAの部分配列を解析した。その際、DNA配列の精度を高めるために繰り返し配列決定を行った後に、これらに含まれる遺伝子領域を特定することに成功した。これを踏まえて、プロモーター(遺伝子のスイッチの役割を果たす)を含むその上流領域を、PCR法により増幅することに成功した。 2、各種ウイルスプロモーターを組み込んだ遺伝子導入用プラスミドの構築 遺伝子導入用プラスミドの構築のために、MultiSite Gateway Proシステム(invitrogen社製)を用いることにより、抗生物質耐性遺伝子と、上記のウイルス由来のプロモーターとターミネーターをそれぞれプラスミドに組み込むことに成功した。 3、有毒・有毒プランクトンの抗生物質感受性試験 上述したプランクトンについて感受性試験を行った結果、いずれの藻も抗生物質ノールセオスリシンに対して感受性を示すことが明らかとなった。 以上の結果により、これまで全く報告の無い上記の有害藻への遺伝子導入を行う際に必須となるツールならびに情報が取得出来た。よって、これら有害プランクトンへの遺伝子導入法を世界に先駆けて確立するための基盤が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1、プランクトン感染性ウイルス由来のプロモーターの分離」に関しては、交付申請書に記載したノリの色落ちの原因藻の1種として知られる珪藻Rhizosolenia属に感染するウイルス、魚類の斃死を引き起こすラフィド藻Heterosigma akashiwoに感染するウイルス、さらに貝類の斃死を引き起こす渦鞭毛藻Heterocapsa circularisquamaに感染するウイルスのうち、前2者についてそのプロモーターを含む領域の分離に成功した。また、「2、各種ウイルスプロモーターを組み込んだ遺伝子導入用プラスミドの構築」についても、得られた2種のプロモーターのいずれについても、これらを組み込んだ遺伝子導入用ベクターの構築に成功することが出来た。さらに、「3、有毒・有毒プランクトンの抗生物質感受性試験」についても、いずれの藻についてもその感受性を明らかにすることが出来た。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果に基づき、次年度は以下の研究項目について検討する。 1、有害・有毒プランクトンの固相培養系の確立 Rhizosolenia属藻ならびにHeterosigma属藻の固相培養法を検討する。その際、寒天培地を用いた一般的な塗抹培養法に加えて、近年報告された超低濃度のアガロースを用いた混釈固相培養法(Lakeman & Cattolico 2007)についても検討し、これらの培養系の確立を図る。 2、パーティクルガンを用いた有害・有毒プランクトンへの遺伝子導入法の検討 今年度作製した藻類ウイルスのプロモーターを含む遺伝子導入用プラスミドを用いて、上記2種を用いてパーティクルガン法(Miyagawa et al. 2009)により、遺伝子導入を試みる。その際、打ち込み時の諸条件について検討することにより、最も高い形質転換効率が得られる条件を解明する。 3、導入遺伝子の発現量解析ならびにプロモーターの適用範囲の検討 遺伝子導入した抗生物質耐性遺伝子の発現量をRT-qPCR法を用いて客観的に評価する。さらに、それぞれのウイルスプロモーターが、どの範囲の生物種に対し適用可能か、検討を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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