研究課題/領域番号 |
24580275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小谷 知也 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (30389069)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 微細藻類種 / 珪藻類 / ハプト藻類 / 脂肪酸組成 / 極性脂質 |
研究概要 |
当初研究計画では、培養カイアシ類の化学成分組成を分析する予定であったが、拡大培養にまで至らず、平成24年度は平成25年度に予定していた微細藻類種の探索を繰り上げて実施すると共に、これを使った培養実験を行った。また、基礎的知見の集積として、当初予定していたとおりの各種栄養強化剤を使用したワムシ・アルテミアの分析も実施した。 【カイアシ類培養最適餌料種の探索】 過去の知見から、珪藻類およびハプト藻類がカイアシ類の培養には有効であることが明かである。入手可能な培養可能種は限定されていることから、珪藻類2種(Chaetoceros neogracile、Phaeodactylum tricornutum)およびハプト藻類2種(Isochrysis sp. タヒチ株、Pavlova lutheri)を用い、上記4種の2種類ずつの組み合わせを設定し、増殖に最適な微細藻類種の組み合わせの探索を行った。その結果、ハプト藻類どうしの組み合わせよりも、ハプト藻類および珪藻類の組み合わせで培養した方が、産仔数が多くなり、最も産仔数が多くなる組み合わせは、P. tricornutumとIsochrysis sp.の組み合わせであった。 【海産ツボワムシ類の分析】 カイアシ類を餌料として用いる際の対照区として用いる海産ツボワムシ類(以下ワムシ)を各種栄養強化剤で培養した時の脂肪酸組成について検討した。通常の栄養強化の場合、仔稚魚の生残、成長に重要な役割をもつn-3HUFA、特にDHAおよびEPAは強化はされるものの、極性脂質中のDHAおよびEPAは僅かしか強化されていなかった。リン脂質中に多量のDHAおよびEPAが含まれていることが知られているカイアシ類と比べると、初期餌料として劣ることが明らかとなった。しかし、強化時間を長くするとワムシ中のDHAおよびEPA量が増えることも明らかに出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では今年度中には大量培養を実施し、カイアシ類の化学組成について明らかにする予定であった。カイアシ類の培養については進展があったものの、仔稚魚用の餌料として使用できるまでには至らなかった。しかしながら、次年度に実施予定であった実験を前倒しして行ったことと、ワムシの分析や栄養強化方法の改善などで、進展があったことから全体として「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は今年度行う予定であったカイアシ類の大量培養を実施し、当初の予定通りにカイアシ類を使った仔稚魚飼育を行う予定である。ただし、やはり中規模培養が実現しない場合は、天然域で採取されたカイアシ類の化学組成分析を行って、ワムシ栄養強化のモデルを構築すると共に、小規模で培養できたカイアシ類を使用して、小規模での摂餌選択性を調べる飼育実験を行う予定である。 また、現在使用しているカイアシ類Temora turbinataの培養については引き続き実施する予定であるが、今年度と同様に培養が拡大できないことも考えられる為、新しい培養可能種の探索も同時に行う予定である。今年度も計画外でカイアシ類の探索を行ってきており、有望種も採取できた為、今後も探索を続ける予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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